働き方改革関連法とは?目的や内容、対策まとめ
働き方改革関連法は、労働力人口が今後どんどん減少していく中、労働力の確保や労働生産性を向上させていくこと、1人1人の事情や希望に合わせた働き方の実現のために2018年6月に成立、2019年4月に施行された労働者の働き方に関する法改正の総称です。
内容や企業規模によって、施行するタイミングや時期が異なり、企業では対応がもとめられています。
今回は、働き方改革関連法の目的や内容、企業として対策すべきことを紹介します。
働き方改革関連法とは?
働き方改革関連法とは、労働者の働き方に関する法改正の総称で、2018年6月に成立、2019年4月に施行されました。
- 労働基準法
- 労働時間等設定改善法
- 労働安全衛生法
- じん肺法
- パートタイム労働法
- 労働者派遣法
- 労働契約法
- 雇用対策法
以前からあった8つの労働関係の法律が改正されました。
企業規模や業種によって、それぞれの適用開始の時期はバラバラです。
働き方改革関連法の目的
働き方改革関連法が定められた目的としては、下記のようなものがあります。
- 働き方改革の総合的かつ継続的な推進
- 長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
- 雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
日本では、労働力人口が今後どんどん減少していくため、労働力の確保や労働生産性を上げていくことが不可欠です。
そこで、より1人1人の事情や希望に合わせた働き方ができるようにすること、働く環境を是正していくこと、雇用形態による待遇の差を埋めていくことが必要なため、改革が行われています。
働き方改革関連法の8つのテーマ
働き方改革関連法には、大きく分けると8つのテーマに分けられます。
1.時間外労働の上限規制
2.勤務間インターバル制度の導入促進
3.有給休暇取得を義務化
4.労働時間状況の客観的把握
5.フレックスタイム制の拡充
6.高度プロフェッショナル制度の新設
7.同一労働・同一賃金の実現
8.中小企業での残業60時間超の割増賃金率引き上げ
それぞれの内容や対応方法については、この後の段落で紹介します。
働き方改革関連法の導入に伴う主な変更点
働き方改革関連法が施行されることによる主な変更点を紹介します。
1.時間外労働の上限規制
会社と従業員間で36協定を締結していたとしても、上限時間を超えた労働を認めることができなくなりました。
時間外労働は月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定しています。
2.年次有給休暇の取得義務
企業は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、その内の5日を、毎年時季を指定して取得させることが必要になりました。
従業員が自発的に有給休暇を年5日以上取得している場合は、取得を催促する必要はありません。
3.勤務間インターバル制度の導入促進
勤務間インターバル制度とは、「当日の勤務と次の勤務の間に一定のインターバルを設ける」制度のことです。
勤務間インターバル制度は、現状では法的な義務ではなく、企業への努力義務という形で設けられています。
勤務間インターバル制度の目安は9〜11時間とされており、例えば前日の22時に業務が終了した場合は、次の日は7時〜9時以降の勤務開始になるように勤務してもらいます。
4.労働時間状況の客観的把握
従業員の働きすぎを防ぐことや上記の時間外労働の上限規制を守ってもらうために、勤怠管理ツールなどの労働時間を客観的に把握できる手段で労働時間を記録・管理することが必要とされています。
5.フレックスタイム制の拡充
フレックスタイム制とは、1ヶ月の期間の中で労働時間を決めて、その労働時間を満たせば始業時間や終業時間を従業員自身で自由に決められる制度です。
この定めた労働時間に対して、実労働時間が多い場合は割増賃金を支払い、不足している場合は欠勤扱いにする等で運用していました。
改正によって、労働時間の精算期間が1ヶ月から3ヶ月に変更になり、3ヵ月の間で自由に労働時間の調整できるようになりました。
例えば、繁忙期の月に働きすぎた場合、精算期間内の別の月で休暇を多くするなどといった調整が可能です。
6.高度プロフェッショナル制度の新設
高度プロフェッショナル制度とは、一定の年収要件(年収1075万円以上)を満たした、職務の範囲が明確で専門的かつ高度な職業能力を持つ労働者を対象に労働基準法の規定に縛られない自由な働き方を認める制度のことです。
この制度を導入するためには、労使委員会の決議および労働者本人の同意が必要です。
労働基準法の規定に縛られないとありますが、年間104日以上かつ4週4日以上の休日確保措置や健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置が義務付けられています。
7.同一労働・同一賃金の実現
同じ企業で同じ職務を行う正規雇用と非正規雇用の間の不合理な待遇差を解消することを目的に制定されました。
正規雇用と非正規雇用で賃金を同じにするということではなく、正当な理由に基づくものでかつ、労働者からの問い合わせに対して合理的な説明ができる場合は、その待遇差に問題は無いとされます。
給与のほかに、交通費の支給や福利厚生、各種手当なども含めて確認する必要があります。
8.中小企業での残業60時間超の割増賃金率引き上げ
月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)について、中小企業への猶予措置を廃止しています。
そのため2023年4月以降は、割増賃金率が25%から50%に引き上げられます。
働き方改革関連法で企業が主に対応すべき内容
働き方改革関連法で企業が主に対応すべき内容を紹介します。
各種規定や就業規則の見直し
働き方改革関連法の施行に伴い、企業で新たに対応すべき内容も含まれていることと思います。
法令に違反することが無いよう、労使協定や就業規則、各種関連する規定を見直し、必要に応じて修正、その後社内に告知する必要があります。
出勤時間や休暇取得の管理
働き方改革関連法にて、労働時間状況の客観的把握が必要になりました。
出勤や退勤、残業や休日出勤、有給取得を管理できるように勤怠管理ツールを活用しましょう。
また、ただ労働時間を記録するだけでなく、法定三帳簿の1つの出勤簿に記録する、残業時間が上限を超えないかや有給休暇の取得状況を管理することも必要です。
働き方改革関連法で企業が活用したいツール・アプリ
働き方改革関連法に伴い活用したいツール・アプリを紹介します。
KING OF TIME
KING OF TIMEは、国内シェアNo.1の勤怠管理システムです。
カードタッチや顔認証、GPSなど非常に様々な打刻方法があり、機能も豊富に搭載しているため、要望通りにシステムの活用が行いやすいです。
システム上に従業員の出退勤や休暇取得などを記録できます。
ジョブカン勤怠管理
ジョブカン勤怠管理は、出勤管理・シフト管理・有休管理・残業管理など勤怠管理に必要な機能を有する勤怠管理システムです。
変形労働・フレックス・裁量労働などのあらゆる勤務形態に対応しており、必要な機能を組み合わせて活用できます。
従業員が働きやすく、成果を出せる環境を整えよう
今回は、働き方改革関連法の目的や内容、企業として対策すべきことなどを紹介しました。
従業員が働きやすく、成果を出せる環境を整えるために、法律に対応すること、随時課題を発見して対策できる仕組みを構築すること、ツールを活用してデータでの管理や業務の効率化を進めることが必要です。
ぜひ、その企業に合わせた対策の実行や環境の整備をしてみてはいかがでしょうか。