リファラル採用とは?メリット・デメリット、促進方法や事例を紹介
求人倍率の高騰により、以前より採用活動が難しくなったと感じている企業は少なくないと思います。
また、労働力人口はますます減少を続けており、今後より一層採用コストの上昇、採用効率の悪化などが考えられます。
そこで、採用活動の新しいチャネルとして考えたいのがリファラル採用です。
今回は、リファラル採用の仕組みやメリット・デメリット、注意点、導入事例などについて紹介します。
リファラル採用とは?
リファラル採用とは、自社の求人にマッチする人材を従業員の知人や友人の中から紹介してもらう採用活動です。
日本は労働力人口の減少に伴い、ただでさえ売り手市場で新規採用が難しい状況ですが、今後ますます採用活動は厳しくなっております。
そこで、従業員にも協力してもらうことで採用のチャネルを広げるとともに、自社のことを分かった従業員からの紹介ということでミスマッチを軽減できるため、多くの企業で導入が進んでいます。
日本におけるリファラル採用の実施状況
2022年4月に株式会社マイナビが公表した『中途採用状況調査2022年版』によると、回答があった1,400社の企業の内、22.1%がリファラル採用を実施していると回答しています。
そのリファラル採用を実施している309社の内、65.7%(203社)が応募があったと回答しており、44.3%(137社)が採用まで繋がったと回答しており、1社あたり平均3名の採用に繋がっているとのことです。
株式会社TalentXが2021年7月に公表した【コロナ禍のリファラル採用調査】においても、調査に回答した185社の内、19.7%がリファラル採用を実施していると回答をしています。
上記の調査より、日本では2割ほどの企業がリファラル採用に取り組んでいることが分かります。
リファラル採用が注目されている理由
リファラル採用は、下記の理由・背景から注目されています。
労働力人口が減少しており、採用が難しくなっているため
日本は、少子高齢化に伴い、どんどん労働力人口が減少を続けています。
特に若い世代の働き手が減っている一方で、超売り手市場であるため、採用活動の工数やコストはとても大きくなっています。
そこで採用活動のチャネルを広げることや採用担当者以外のリソースを活用する必要があり、リファラル採用が注目されています。
転職媒体での競争率が激化しているため
上記の採用倍率が高騰していることに伴い、転職サイトへの掲載や転職エージェントを活用する企業が増えています。
求職者の母集団は減る一方で、採用したい企業数は増えているため、これまで採用ができていたチャネルでも採用できなくなっていたり、コストが高騰していることもあり、他のチャネルの活用が必要とされています。
リファラル採用の成功事例や実施する企業が増えているため
リファラル採用は、近年実施する企業が増えた採用活動です。
大手企業や有名企業がリファラル採用を導入し、採用実績や採用への良い効果が増えて、外部公開されるようになり、その情報に触発された企業がリファラル採用を取り入れる流れができています。
国産のリファラル採用を管理するツールも提供されており、ますますリファラル採用を行いやすくなっていることも導入が進んでいる理由の1つです。
リファラル採用を導入するメリット
リファラル採用のメリットとしては、下記のようなメリットがあります。
自社の文化に合う人材を採用しやすい
リファラル採用では、従業員が従業員の知人や友人に声をかける採用活動であるため、自社の社風や仕事内容についてよく理解している人材から声をかけるため、声をかける従業員も自社に合いそうだと感じた人を対象にすることと、会社の情報を理解してもらった上で選考に進んでくれるため、自社の文化に合った人材が採用しやすいという特徴があります。
従業員の早期離職のリスク低減
転職後も声をかけてくれた友人・知人が社内にいることで、他の社内メンバーとも早く友好関係を築きやすく、会社に慣れやすい傾向にあります。
また、友人・知人に会社の状況をよく聞いて理解した上で入社の意思決定を行いますので、イメージとのギャップが大きくなりにくく、ミスマッチが軽減されます。
転職顕在層以外の層にアプローチできる
従業員が声をかける知人・友人は、既に転職活動中という方もいれば、まだ具体的には動けていないという人もいると考えられます。
転職活動をしていない人にはスカウトを送ったり、エージェントが接触することもできませんので、そういった顕在層の方にもアプローチでき、他社との競争になりにくいところもメリットの1つです。
採用コストの軽減
リファラル経由での採用であれば、求人媒体への掲載や転職エージェントへの仲介料の支払いが必要なく、発生するコストは従業員へのインセンティブのみになります。
そのため、他の採用チャネルと比較すると格段に採用コストを軽減でき、その分給与を高く設定できるなどのメリットがあります。
従業員が自社の良い部分の再発見やキャリアの棚卸しになる
従業員が知人や友人に自社の求人を紹介するためには、自社や求人内容の仕事の良い部分ややりがいを伝えなければ、知人・友人には響きません。
その紹介の過程を通して、自社の良い部分を再発見するとともに、自分はその会社で今後どうなっていきたいのかを考える機会にもなりますので、従業員にとっても良い機会になります。
リファラル採用を導入することによるデメリット
リファラル採用を実施することによるデメリットとしては、下記のようなことが考えられます。
紹介から採用までに時間がかかる可能性がある
リファラル採用で紹介され、自社の面接に来た時点では、そもそも転職することを決めている訳ではないという人も少なくありません。
そのため、面接を行ってからまずは転職の意向を高めつつ、自社への興味付けを行い、その後現職との退職スケジュールの交渉を行う流れですので、他の転職活動を行っている人材よりも採用までに時間がかかってしまう可能性があります。
インセンティブ目的の紹介が発生する可能性がある
リファラル採用で採用が決まった場合にインセンティブを設けている企業では、良い人材を自社に紹介するよりもインセンティブが欲しくて紹介をしてしまう可能性も考えられます。
特に、知人や友人を紹介し、面接に繋げるだけでインセンティブを配布している場合は注意が必要です。
不採用になった場合にケア・フォローが必要
紹介してもらった人材が不採用になってしまった場合、すぐに紹介してくれた従業員にお礼と不採用になった理由について共有を行うことが重要です。
その不採用となったことがきっかけで人間関係が悪化するといったことをできる限り防ぐようなケア・フォローを行う仕組みづくりが必要です。
リファラル採用を行う際の注意点
リファラル採用を行う際の注意点としては、下記のようなものがあります。
リファラル採用制度のルールや流れを事前に策定する
リファラル採用を開始するにあたって、求人の告知方法や紹介方法、インセンティブを払うタイミングや金額、応募後の進捗管理方法など策定すべきことが沢山あります。
ただ紹介してくださいという案内だけでは、ほとんどの場合形骸化して上手くいきませんので、リファラル採用を開始する前にルールやレギュレーションを決め、必要に応じて改変することが重要です。
就業規則や賃金規定を予め改定する
リファラル採用で知人や友人を紹介してくれた際にインセンティブを支給する場合は、注意が必要です。
職業安定法の第40条において、「労働者の募集にあたり報酬を与えることは原則禁止。しかし、賃金・給与として支払う場合は例外として認める」と定められており、この内容を守らない場合は、違法になってしまいます。
そのため、求人の紹介を業務の一部として位置づけ、就業規則や賃金規程に制度の内容や報酬の金額を明記する、報酬を高額にしすぎないといった対策が求められます。
求人情報を告知する場所・方法を決めておく
リファラル採用は、自社の求人情報を従業員に知ってもらえなければ、紹介には至りません。
また求人情報が告知されても、何名の募集なのか、これから追加で紹介しても良いのかなど該当の求人の状況が開示されていなければ、紹介をためらう可能性もあります。
そのため、求人情報を従業員に告知する場所や方法を決めるとともに、求人の進捗も都度確認できるような仕組みを作れるとなおよいです。
リファラル採用を社内で促進する方法
従業員エンゲージメントを高める
リファラル採用を効果的に運用するためには、まず従業員が自社を紹介したいと思えるような状態を作る必要があります。
従業員エンゲージメントが高い状態であれば、リファラルでの紹介が生まれやすいため、まずは自社の従業員エンゲージメントを測定し、エンゲージメントスコアを上昇させる取り組みを行います。
採用したい人物像を具体的に伝える
リファラル採用において、採用したい人物像から具体的に紹介できる人をイメージできれば、該当する人に声をかけやすくなります。
職種や業務内容、年収だけでなく、必須の経験・スキル、配属予定の部署や上司になる予定の人など、より具体的に従業員に伝えることによって、紹介しやすくなるとともにミスマッチを軽減することにも繋がります。
報酬・インセンティブを設計する
従業員が知人や友人の方に声をかける行動をモチベートするためにも、その従業員に何かしらのメリットが得られることが望ましいです。
そのため、多くの企業では、選考に応募をした時点もしくは入社が決まった時点で報酬・インセンティブを支給することで、声掛けを促進しています。
協力者へ報酬以外で感謝や賞賛を伝える
上記の報酬やインセンティブの他にも、全体集会の場で表彰を行ってリファラル採用への協力を賞賛したり、人事や配属予定の管理者から直接感謝を伝えるといったことで、引き続き協力してもらえる可能性が高まります。
反対に、感謝や賞賛がなければ、リファラル採用に協力したことに対してネガティブに捉えられる可能性もありますので、感謝や賞賛は必ず伝えるようにしましょう。
リファラル採用活動における重要指標
リファラル採用活動を行う上で、定点観測したい重要指標は、下記のものがあります。
採用決定数
採用活動のゴールは、内定承諾・採用決定数です。
リファラル採用の制度を導入し、そこから何名採用決定に至ったのかは、リファラル採用制度の効果を測る上でも一番重要な指標です。
従業員の協力者数、協力率、紹介者数
リファラル採用制度で求人情報を従業員に共有し、そこから従業員が何名協力してくれたのかや全体の何%の人が協力してくれたという数字は、制度のPDCAを回す上で定点観測すべき指標です。
従業員の協力者が増えるほど、リファラル採用から採用決定する確率が高くなる他、より採用したい人材に合える可能性が高くなります。
選考通過率
従業員の紹介から実際に選考を受けた方が、どの程度選考を通過したのかは、リファラル採用の声掛けの仕方や声をかける対象者の絞り込みを改善する上で確認すべき指標です。
特定の紹介者からの応募者が著しく選考通過率が低い場合は、むやみやたらに声をかけている可能性がある他、他の採用チャネルと比較してどの程度違いがあるかを確認することも必要です。
リファラル採用を行っている企業の取り組み事例
リファラル採用を行っている企業の事例を紹介します。
全国200店舗を構える飲食チェーン会社のリファラル採用導入事例
従業員を5,000名ほど抱える全国規模の飲食チェーン店では、アルバイトから社員への登用や中途入社者・アルバイトのリファラル入社を促進するために、社員全員でリファラル採用に取り組んでいます。
アルバイトから社員になってくれれば、現場のことをよく分かっており、即戦力として活躍してくれる可能性が高く、中途やアルバイト入社も現場を良く知っている人から声をかけてもらうことで、マッチング精度が高くなることも期待できます。
実際に制度を導入開始して数か月で、順調にアルバイトから社員の登用が進み、アルバイトのリファラルも応募の9割弱が採用決定するなど非常に精度が高い結果が出ています。
従業員100名ほどの急成長IT企業のリファラル採用導入事例
従業員100名ほどで年々、事業も組織も成長しているIT企業では、特に管理職以上のハイレイヤー層の獲得のためにリファラル採用を開始しました。
応募者の質を担保するために、リファラル採用に協力してもらう従業員をこれまでの経歴や業界での知名度などを勘案して絞り込み、効率良くかつ質を落とさないよう工夫しています。
実際にリファラル採用制度を導入してから、選考に進んだ90%が内定承諾となっており、紹介数も従来の6倍ほどに増えたということで、協力者を限定し、ターゲットを明確にすることによって、高い質と紹介者数の両方を担保できているとのことです。
↓リファラル採用ツールの機能や比較点、おすすめツールを紹介した記事はこちら↓
リファラル採用ツールの主な機能やメリット、比較ポイントを紹介
オススメのリファラル採用関連サービス
Refcome
Refcomeは、リファラル採用の定着度・活発度を見える化しデータに基づいた改善案を導き出すリファラル採用ツールです。
従業員が友人に求人内容を共有しやすいことや部門・社員ごとの活動量のレポートを作成でき、データに基づいた活動の改善を行えます。
MyRefer
MyReferは、国内初のリファラル採用ツールです。
約60%のリファラル採用未導入企業がリファラル採用を開始する際に導入し、従業員100人〜100,000人の規模で利用されています。
リファラル採用関連サービスを活用し、採用活動をより強化しよう
今回は、リファラル採用のメリットや注意点、取り組み事例などについて紹介しました。
リファラル採用は上手く機能すれば、採用費を格段に下げるとともに、マッチング精度を高く保てば、採用活動の効率化にも大きく寄与する取り組みです。
まずはサービス紹介資料をダウンロードいただき、自社で活用できそうか検討してみてはいかがでしょうか。