従業員エンゲージメント向上施策20選!各メリット・注意点を紹介
組織作りと業績向上の両方を実現するために従業員エンゲージメントを向上させたいが、具体的に何に取り組めばよいか分からない、他にもアイディアが欲しいという企業は非常に多いです。
今回は、従業員エンゲージメントを向上させる具体的な流れや施策例を20個に絞って紹介します。
従業員エンゲージメントとは?
従業員エンゲージメントとは、会社の企業理念や方向性に従業員が共感しており、自発的に取り組む意欲を指します。
会社と従業員が同じ方向を向いて、互いに成長し合うような関係です。
「理念や方向性への理解」「会社の一員としての自覚」「理念や目標達成に向けた積極性」の3つのポイントを満たしている必要があり、従業員満足度とは異なる意味の言葉です。
↓エンゲージメント向上のメリットや必要なツールを紹介した記事はこちら↓
エンゲージメントとは?意味や向上のメリット・施策を紹介
従業員エンゲージメントを測定する方法
従業員エンゲージメントを測定する方法として主流なのは、「eNPS」を結果指標に、会社全体の満足度や充実度を測定するエンゲージメントサーベイの活用です。
eNPSは、Employee Net Promoter Scoreを略した言葉で、「自分の会社をどの程度知人や友人にオススメできますか」という質問に0〜10の11段階で回答してもらうことで数値化されます。
主に、eNPSが高い人たちが高い点数を付けている理由、eNPSが低い人たちが満足していない要因などを洗い出し、その後の組織改善に繋げていきます。
エンゲージメントサーベイは、数問程度を1日に1回~月に1回の頻度で実施するパルスサーベイと数十~数百の設問を四半期に1回~1年に1回回答するサーベイに分けられ、それぞれの目的や課題の重要度に合わせて組み合わせて活用されます。
従業員エンゲージメントが高い職場の特徴
従業員エンゲージメントが高い職場の特徴について紹介します。
- 会社のビジョンや今後の方針について定期的に発信している
- 従業員の目標と企業の目標がリンクしている
- 従業員の仕事の成果を評価する人事評価制度になっている
- 従業員への教育や成長支援を行っている
- 仕事への挑戦や失敗を受け入れる社風がある
- 職場環境が整っている
- 働く場所や時間、働き方などに自由がある(主体性が尊重されている)
- 業務上の報連相、コミュニケーションが活発
上記のように、会社として従業員に対して必要な情報発信や支援を行っていること、従業員が成果を出すための環境や制度が揃っていることが特徴として挙げられます。
従業員エンゲージメントが低い職場の特徴
一方、従業員エンゲージメントが低い職場の特徴について紹介します。
- 会社からビジョンや方向性についての発信がない
- 従業員の目標設定で方向性が統一されていない
- 成果や貢献度を評価されない、評価制度がない
- 従業員への支援が無く、自己負担が多い
- 挑戦や失敗が許されず、変化を嫌う社風がある
- 仕事を行う環境や道具が整備されていない
- 従業員に仕事における自由度がない
- 社内コミュニケーションツールがなかったり、報連相が少ない
上記のように、従業員エンゲージメントを高める上で必要な3つのポイントである「理念や方向性への理解」「会社の一員としての自覚」「理念や目標達成に向けた積極性」のそれぞれを満たす企業の行動や支援が無いことや、積極性を阻害する障壁があることが特徴として挙げられます。
従業員エンゲージメントが低い原因
従業員エンゲージメントが低い、なかなか改善されない原因・要因として、下記のことが考えられます。
会社の方向性や中長期的な取り組みが分からない
従業員エンゲージメントが低い原因でよくあるのが、会社の方向性や中長期的に何を目指しているのかが分からないということです。
その会社で頑張り続けたい、将来のキャリアを構築したいと思っても、会社の方向性が分からなければ、自分自身の方向性を定めにくいです。
会社のビジョンや数か年の計画やロードマップなどについて最低年に1回は発信することが必要です。
仕事での成果が評価される環境でない
仕事に主体的に取り組み、頑張りたいと思っても、その頑張りや取り組みでの成果が評価されなければ、成果を出しても出さなくても変わらないということで、従業員のモチベーションや成果へのコミットメントは必然的に下がります。
まずは従業員の成果が会社の業績向上に繋がる目標の設定と従業員の成果を評価する人事評価に変更することが必要です。
会社から必要な発信や支援がない
上述した会社の方向性や中長期的な取り組みしかり、会社から仕事に関する発信や従業員の成長の機会の提供、支援が無い場合は、従業員は会社のために頑張りたいとはなりにくいです。
従業員のスキルアップにも繋がらないため、会社から必要な情報を発信する機会の設置とツール等の仕組みの構築、従業員の成長支援へのコスト投下などが必要です。
従業員の主体性を認めていない
従業員が成果を出す上で、従業員に自由度が無いことは足枷になってしまいます。
従業員の主体性を認めずにルールや規則、圧力で縛っても、良いアイディアがでなかったり、新しいチャレンジを起こしにくいです。
組織としてルールは必須ですが、従業員が成果を出すために働く場所や時間、仕事での権限などを見直してみることが重要です。
従業員エンゲージメントを向上させる流れ
従業員エンゲージメントを向上させる際の具体的な流れを紹介します。
1.現状把握
従業員エンゲージメントを向上させる上でまず必要なことは、組織サーベイツールなどを活用し、現状の従業員エンゲージメントの数値や従業員エンゲージメントが低い要因を特定することです。
従業員エンゲージメントを向上する上で何を対策すれば良いのかをまず明確にします。
2.目標の設定
従業員エンゲージメントの現状が把握できたら、今後の目標を設定します。
eNPSのスコアとeNPSと相関関係の強い要素の満足度や充実度のスコアを両方設定することがおすすめです。
3.戦略・計画策定
続いて、現状と目標との差分を埋めるための戦略や計画を策定します。
一度、やるべきことをリストアップした後に、数値へのインパクトや必要なコスト、取り組みにかかる期間などの軸を元に、スケジュールに落とし込んでいきます。
4.計画の実行
策定した戦略や計画を実行していきます。
実行する中で、気付いたポイントや今後の改善点をメモしておき、次回以降の施策に役立てます。
5.定点観測・振り返り
取り組みの成果を定期的に測定し、目標とのギャップや取り組みの達成度を元に振り返りを行います。
取り組みの成果の測定は、四半期~年度に1回は実施し、推移の変化を測定します。
また、2に戻って今後の目標を決めて計画を立てて実行することを繰り返していきます。
このサイクルを繰り返すことによって、組織の課題の早期発見と対策を行え、従業員エンゲージメントの向上が期待できます。
従業員エンゲージメント向上施策20選
従業員エンゲージメントを向上させる際に取りうる代表的な施策を20個紹介します。
施策1.企業理念・ミッションの発信
社内報や全社集会などの場で企業理念やミッションとそれらを大事にしている理由について発信します。
会社の行動指針やバリューと合わせて話すことによって、会社が大事にしていることと従業員が取るべき行動が明確になるので、従業員の理解度も向上します。
施策2.会社の戦略や計画の発信
全社集会などの場で会社の今後の戦略や計画の発表、部門レベルであれば部門での集まりの際に戦略や計画を発表します。
中長期的に会社や部署がどこを目指すのかが分かるため、従業員も自分の頑張るべきことが理解しやすく、キャリアを描きやすいというメリットがあります。
施策3.経営者の考えや思いの発信
上2つと同様に全社集会や社内報、社長ブログなどで経営者の考えや思いを伝えることも効果的です。
経営者が今どういうことを課題に感じているのか、どういう思いを持って戦略や計画を描いているのかがより理解しやすくなります。
施策4.職場環境の整備
普段仕事をするオフィスや作業場などの職場環境が乱れていれば、モチベーションが下がったり、物を探すのに時間がかかってしまったりと生産性を下げてしまう要因になります。
定期的に清掃の時間を設けたり、帰宅する際はデスクの上を綺麗にするような整理整頓をする習慣作り、定期的な棚卸しと整理を行いましょう。
施策5.IT・作業機器の拡充
仕事の生産性に直結するITや作業機器の拡充も必要です。
普段使う道具で不具合が発生してはモチベーションが下がってしまいます。
従業員の主体的な取り組みや姿勢を最大限成果に結びつけてもらうためにも、IT・作業機器の購入やアップグレードにはコストを支払いましょう。
施策6.感謝や称賛の文化作り
従業員の相互理解を深めたり、コミュニケーションのハードルを下げる上で、感謝や称賛を言葉で伝え合うことは効果的です。
感謝や称賛の声掛けがあれば、より良い行動をしたいというモチベーションにも繋がりますし、組織内で良い言動を増やすサイクルができます。
施策7.エンゲージメントの測定と原因把握
従業員エンゲージメントを向上させるのであれば、現状把握は必須です。
組織サーベイツールやストレスチェックなどのアンケートを実施して、定量的に現状や課題を把握できると、その後の施策を立案や実行を進めやすくなります。
施策8.多様な働き方の推進
従業員に成果を発揮してもらうためには、ある程度の裁量を持たせて、主体性を尊重することが重要です。
どうしても厳しいルールや規則の中であれば、新しいチャレンジを起こしたり、アイディアを考えることは難しいです。
フレックス制度や時短制度、リモートワークの導入など、一定のルールを設けつつ、働きやすさを向上させることによって、優秀な人材の受け入れや定着にも効果が期待できます。
施策9.人事評価の見直し
従業員が積極的に仕事に取り組み、目標達成や成果を上げることに注力してもらう上で、人事評価は非常に重要です。
人事評価の評価項目や評価方法、評価後の給与や役職への影響などを明確にすることで、不公平を感じることが少なくなり、仕事へのやる気も向上します。
施策10.活躍した人材の表彰
半期や年度を通して素晴らしい成果を残した人材を全社集会で表彰したり、社内報でインタビュー記事を公開することは、活躍した当人や周囲の従業員にとって効果がある施策です。
よい良い成果を残したいというモチベーションになったり、社内でロールモデルを見つけるきっかけになったりします。
ただ競争を煽りすぎたり、表彰の基準が明確でない場合は逆効果になることがあるため、要注意です。
施策11.相互理解を深める
社内SNSや社内報の導入、good&newや交流会の機会を設けることなどで従業員の相互理解を深めることで、仕事に関するコミュニケーションも取りやすくなります。
上司・部下の関係であれば、より部下の人となりを理解した上で、その人に合わせたマネジメントが行えるため、横だけでなく上下にも効果のある施策です。
施策12.管理職のマネジメント能力向上
従業員の離職理由として多いものの1つが、管理職のマネジメント能力です。
自分の価値観を押し付けてしまったり、距離感を誤ってしまうという失敗は少なくありません。
研修を実施してマネジメントにおける重要なポイントを理解してもらいつつ、組織サーベイで実態を調査して、必要に応じて指導や支援を行うなど、教育や支援が必要です。
施策13.仕事外での同僚との交流
どうしてもオフィスや作業場では、仕事に関する会話が中心となり、お互いの価値観や人となりを理解することは難しいです。
仕事場を離れて、飲み会や部活動などの仕事以外のことも会話できる機会があることでお互いのことをより知ることができ、仕事場でのコミュニケーションが取りやすくなるといった効果が期待できます。
施策14.コミュニケーションの円滑化
仕事を円滑に進めたり、チームで情報共有しながら仕事を進める上で、コミュニケーションを取りやすくするビジネスチャットの導入や会話がしやすいオフィスづくりは効果的です。
コミュニケーションが取りやすくなることで、仕事の段取りが早く進むことやミスやトラブルが発生した際にすぐ対処できます。
施策15.教育機会の提供や支援
従業員が仕事を行う上で必要な知識やスキルを習得してもらうことは、仕事の生産性や業務範囲の拡大に直結します。
社内の人に登壇してもらったり、社外の人を招いてセミナーを開催したり、外部のセミナー参加や資格取得に対して補助を出すといった施策が考えられます。
施策16.ワークライフバランスの充実
フレックス制度や短時間勤務制度の導入、育児休暇/介護休暇の新設、リモートワークの導入など、従業員が働きやすくなる制度を整えることは採用や定着に効果があります。
注意点としては、従業員の働きやすさ向上を通して従業員の生産性が向上することが目的であって、働きやすさを向上させることが目的ではないため、その点を踏まえて制度を導入・整備することが重要です。
施策17.休暇取得の推進
仕事をモチベーション高く主体的に取り組んでもらうためには、適度な休息が必要です。
ずっと走りっぱなしではどこかで体調やメンタルヘルスを崩す原因になってしまうため、有給休暇の計画取得や従業員が休むべき状況の際は休んでもらう必要があります。
施策18.メンタルヘルスのケア
従業員が主体的に取り組み続けるためには、心身が健康であることが必須条件です。
メンタルヘルスに対する理解度を高めてもらう研修を実施すること、産業医との面談を希望に合わせて実施できるような仕組み・環境の整備が必要です。
施策19.福利厚生の充実
会社に対する満足度向上や採用における魅力度を向上させる上でも、制度の整備や手当の導入は非常に効果が大きいです。
自社独自の福利厚生の導入や福利厚生代行サービスの活用などが施策として挙げられます。
施策20.仕事のやりがい向上
仕事のやりがいを感じるのは従業員自身ですが、やりがいを感じる機会は会社や上司が提供可能です。
仕事の機会の創出や目標の明確化、その人に期待値やその理由を伝えることによって、やりがいを感じられる機会になり、より仕事を頑張る動機付けになります。
従業員エンゲージメント向上に欠かせないシステム・ツール
現在、従業員エンゲージメント向上に寄与するシステム・ツールの調査や絞り込みを行っております。
従業員エンゲージメントは複数の仕組みや環境を整えることが重要であるため、いくつかご紹介できるように調査と選定を進めております。
いましばらくお待ちくださいませ。
有効な施策・打ち手で従業員エンゲージメントを向上させよう
今回は、従業員エンゲージメントを向上させる具体的な流れや施策例などについて紹介しました。
従業員エンゲージメントを向上させることは、企業にとっては業績向上や人材確保、従業員にとっても仕事へのやりがい向上や心身の健康維持などの双方にとって大きなメリットがあります。
従業員エンゲージメントを向上させる施策は沢山ありますが、どの施策を実施すべきかは企業によって異なります。
従業員エンゲージメントを測定するツールや各施策を効果的に実施するツールの活用を通してエンゲージメントの向上を実現していただければと思います。