会社支給の手当の種類や内容、提供例、非課税の手当、注意点まとめ
従業員の定着や活躍、新規採用のために支給される手当ですが、法律で支給が義務付けられた物と会社が独自で支給を決めている物の2種類があるため、会社によって手当の内容も異なります。
また、手当の中には非課税で支給する物や支給の際に注意すべきポイントもあります。
今回は、会社支給の手当の種類や内容、提供例、非課税の手当、その他注意点などについて紹介します。
手当とは?
手当とは、企業から支払われる基本給以外の賃金のことです。
手当にも「法律で支給が義務付けられたもの」と「会社が独自に支給を決定したもの」の2種類があります。
会社が独自に支給を決定する物に関しては、従業員のモチベーション向上や定着率、エンゲージメント向上などを目的に支給されます。
手当の場合は、○○手当という名称であることが一般的です。
法律で定められている手当一覧
法律で従業員に支給が義務付けられている手当について紹介します。
時間外手当(残業手当)
1日8時間・週40時間以上、または時間外労働の限度時間(月45時間・1年360時間など)を超えた場合に支給されます。
超過した時間分、通常の時間給の25%以上の割増賃金を加算して支給する必要があります。
また、1ヶ月の時間外労働が60時間を超えた場合は、通常の時間給の50%以上の割増賃金の支払いか有給休暇の付与が義務付けられています。
深夜手当
深夜22時〜翌朝5時の時間で深夜勤務した場合、通常の時間給の25%以上の割増賃金を加算して支給する必要があります。
休日手当
法定休日に勤務した場合、通常の時間給の35%以上の割増賃金を加算して支給する必要があります。
法定休日は、法労働時間の概念が存在しない為、1日8時間以上の勤務であっても時間外手当は支給されません。
宿日直手当
その日の仕事が終了してから翌日の仕事開始までの時間や休日で、通常の労働は行わないものの事業場で待機させて、電話対応、災害予防の巡視、非常事態発生時の連絡等をさせることが宿日直です。
宿日直手当で支給する金額は、同じ事業場で宿日直業務を行う人を基準とし、1人1日の平均額の3分の1以上とされています。
休業手当
会社の都合や会社の指示で休業させた従業員に対して、「平均賃金×60%以上」を手当として支給することが必要です。
企業が任意で支給する手当例
企業が任意で支給する手当の例を紹介します。
役職手当
部長、課長など役職に応じて支給される手当、管理職手当と呼ばれることもあります。
職務手当
難易度が高い、専門性の高い特定の職務に就いている事に対する手当。
職能手当
担当する業務を遂行する能力に対する手当。
危険手当
ケガなどの危険や困難のリスクの高い業務を担当することの手当。
資格手当
業務に活かせる資格を保有することに対する手当。
出張手当
出張に伴い発生する費用を負担するための手当。
通勤手当
通勤にかかる費用を会社が負担する手当。
住宅手当・家賃手当
従業員の住宅や家賃を一部補助する手当。
地域手当
都市部での勤務や不便な地域での勤務に対して、支出の差を是正する手当。
扶養手当・家族手当
扶養対象の配偶者が子どもがいる場合に支給される手当。
食事手当
勤務時間中の食費を補助するための手当。
皆勤手当
遅刻や早退、欠勤が無く、皆勤したことに対する手当。
勤続手当
一定以上の年数勤務し、勤続年数の長さに対して支給される手当。
テレワーク手当・在宅手当
テレワーク等での勤務で発生する費用を補助するための手当。
健康増進手当
従業員の健康意識を高めるため、禁煙・健康診断受診等で支払われる手当。
非課税で支給できる手当
ほとんどの手当が課税対象ですが、一部実費に対する補填や清算の必要がある手当に関しては、所得税と住民税が非課税になります。
企業が非課税で支給できる手当を3つ紹介します。
1.一定金額以下の通勤手当
通勤手当は、月額15万円が非課税の上限です。
マイカー通勤の場合は、通勤距離に応じて上限が変動し、最大で月額31,600円までが非課税対象となります。
また、公共交通機関の場合は、「合理的な通勤方法」の場合のみ、非課税対象になります。
2.一定金額以下の宿日直手当
日直や宿直の場合、1回4,000円、食事が提供された場合はその代金を引いた金額が非課税対象となります。
ただ、日直や宿直の代休を取っている場合などは、非課税対象にはならないため注意が必要です。
3.必要な範囲での出張・転勤手当
出張手当や転勤手当は、「通常必要とされる金額」と認められる場合は、非課税となります。
また、出張の際に支払われる宿泊費や手当に関しても、非課税になります。
手当を支給する際の注意点
手当を支給する際の注意点について紹介します。
手当の内容について労働条件通知書や就業規則への記載が必要
手当を導入する際は、詳細に関して労働条件通知書や就業規則へ記載することが必要です。
労働基準法にて、従業員に支払う給与などの計算方法や説明を記載することが義務付けられており、手当に関しても同様に記載が必要です。
手当の待遇差を設けるのは禁止
同一労働同一賃金では、給与や賞与、その他の待遇が対象となっており、手当もこれに含まれます。
そのため、正社員と非正規社員の間に手当で不合理な待遇差を設けることはできません。
手当の減額、廃止は簡単にできない
一度支給を定めた手当は、いつでも減額や廃止できる訳ではありません。
従業員に不利益になる就業規則の変更となるため、労働者と使用者の間で合意によって、労働契約を変更する必要があります。
また、就業規則を変更しても、労働条件を労働者の不利益に変更することは原則としてできません。
変更する場合は、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ変更が合理的であることが必要です。
会社支給の手当で、従業員の定着や新規採用を強化し、より良い会社を作りましょう
今回は、会社支給の手当の種類や内容、提供例、非課税の手当、その他注意点などについて紹介しました。
手当は従業員にとってありがたいものですが、一度支給を決めると減額や廃止することは簡単ではありません。
本当に会社にはどのような手当が必要なのかを考えた上で、支給を決定することがおすすめです。
ぜひ、会社で必要な手当やツールなどを導入して、より良い組織作りを行ってください。