給与計算とは?やり方・流れ、大幅に効率化する方法を紹介
給与計算は、従業員を雇用している企業であれば、毎月必ず発生する業務です。
計算・管理すべき項目が多くかつミスが許されない業務であるため、業務効率化できないか悩んでいる方も多いと思います。
今回は、給与計算のやり方や流れ、大幅に効率化する方法などについて紹介します。
給与計算とは?
給与計算とは、会社が労働の対価として支払う給与から控除される金額を差し引き、実際に支払う金額を計算するまでの一連の流れです。
給与計算は、基本給の他にも各種手当、税金、保険料など様々な項目があり、項目毎に法律やルールが絡んでいるため、非常に複雑です。
また、従業員を雇用している企業では、必ず毎月給与計算から給与の支払いまでを完了させる必要がある重要な業務です。
給与で支払われる総支給額の内訳
給与で支払われる総支給額の項目についてそれぞれ紹介します。
基本給
毎月支払いが決まっている一定の金額です。
欠勤や遅刻、早退などの勤怠状況によって差し引きが発生します。
各種手当
手当は、賃金規定などを元に定められます。
通勤手当や住宅手当、役職手当、出張手当、資格手当などが該当します。
手当の種類や手当の支払金額は、企業によって異なりますので、算出の際は注意が必要です。
時間外労働の手当
規定の残業時間を超過した残業や深夜残業、法定休日残業には、時間外手当が付きます。
従業員の時給を算出し、割増賃金も加味して計算されます。
最低割増率は、下記の通りとなっています。
- 普通残業(労働時間が1日8時間または週40時間以上):25%以上
- 深夜残業(22時~5時までの残業):25%以上
- 法定休日残業(週1日の法定休日の残業):35%以上
2つ以上あてはまる場合は、両方の割合を合算して算出します。
給与から差し引かれる控除額の内訳
給与から差し引かれる控除額の内訳を紹介します。
源泉所得税
所得税額は、年間の給与の総額が確定した後に決定しますが、被雇用者は、毎月の給与より概算の所得税を源泉徴収され、年末の年末調整もしくは確定申告で過不足分を精算します。
住民税
従業員が居住している自治体に納める税金です。
毎年5月の中旬〜下旬に会社に税額通知書が届き、その後6月から翌年の5月にかけて給与より支払われます。
健康保険
病気や怪我の際に、病院を受診すると自己負担3割の金額で診察を受けられる健康保険です。
金額は、標準報酬月額に保険料率を掛けて算出されます。
会社と従業員が折半して支払います。
厚生年金保険
厚生年金保険の適用を受ける事業所の70歳未満の被雇用者は、原則として加入する必要があります。
3ヶ月の平均の給与を元に支払額が決定し、会社と従業員が折半して支払います。
雇用保険
退職時や失業時に給付を受けるための保険です。
毎月の給与支給額に保険料率を掛けて算出します。
介護保険
介護サービスが必要になった場合に、1~2割の負担で介護サービスが受けられる保険です。
40歳以上の従業員のみが負担する必要があり、40歳未満の従業員は支払う必要がありません。
欠勤控除
1ヶ月の勤務の中で欠勤が発生した際に控除されます。
月給より時間当たりの時給を算出し、欠勤時間分が控除金額となります。
遅刻早退控除
1ヶ月の勤務の中で遅刻や早退が発生した際に控除されます。
月給より時間当たりの時給を算出し、遅刻・欠勤時間分が控除金額となります。
給与計算のやり方・流れ
給与計算のやり方及び具体的な流れについて紹介します。
1.勤怠情報を確定させる
- 所定労働日数に対する勤務日数や労働時間
- 欠勤・遅刻・早退の日数及び時間
- 残業時間・深夜残業時間・休日出勤時間
- 代休日数
- 有給取得日数
など給与計算を行うにあたり、従業員1人ずつの上記の勤怠項目を確定させます。
給与計算システムであれば、基本的に自動で集計されています。
2.総支給額を算出する
勤怠情報から勤務時間、割増賃金、各種手当を元に総支給額を算出します。
3.控除額を算出する
総支給額の計算後、控除額を計算します。
詳細の項目は、上述している内容をご確認ください。
4.差引支給額を算出する
総支給額から控除額を差し引いた金額が、支給額です。
従業員それぞれで支給する額を確定します。
5.給与の振込手配を行う
従業員個々人の支給金額が確定した後、それぞれの銀行口座や振込手配を行います。
6.賃金台帳や帳簿に記入する
労働基準法によって、従業員への給与支払情報を賃金台帳に記入することが義務付けられています。
賃金台帳は、記入から5年間は保存義務が課されているため、給与計算後に賃金台帳を記載し、指定のファイル等で管理を行います。
7.社会保険料・税金を納付する
会社が従業員と折半している社会保険料や厚生年金保険などを納付します。
納付期限がそれぞれ決められているため、期限までに納入します。
給与計算業務における基礎知識
賃金支払いの五原則を遵守する
労働基準法第24条によって給与支払いの5原則が定められています。
- 通貨での支払い
- 労働者に直接支払い
- 全額支払い
- 毎月1回以上の支払い
- 一定の期日に支払い
上記の原則に則って、給与の支払いを行いましょう。
従業員情報・勤怠情報の管理更新を行う
正しい給与計算を行うためには、従業員の情報や勤怠情報を適切に管理する必要があります。
・従業員の住所変更
・従業員の結婚・出産
・役職や役職呼称
・保険加入状況
など、従業員の情報を適宜アップデートしないと、正しい給与を支払えません。
管理側も情報を適切に管理するとともに、従業員から情報を提供してもらえる仕組みを作る必要があります。
法改正やルール変更に随時対応する
法改正によって各種控除項目の対象や支払額が変更になったり、地域の最低時給が更新になったりと適宜法改正やルール変更に対応する必要があります。
情報を収集し、適宜対応するよう心がけましょう。
給与計算における注意点
給与計算を行うにあたって、下記のポイントに注意しましょう。
情報漏洩
給与支給額しかり従業員の情報が漏洩すると、個人情報保護法の違反になる可能性があります。
社外はもちろん社内でも従業員の情報が漏れることはNGですので、適切に管理を行いましょう。
計算ミス
給与計算において計算ミスが発生すると従業員に正しい給与が振り込まれない他、保険料や税金を過少申告していたとみなされ、追加徴税が発生する可能性があります。
また、それがきっかけで税務調査が行われることもあります。
支払い遅れ
従業員への給与の支払いへの遅延が発生した場合は、従業員へ謝罪を行うとともにすぐに対応を行います。
過不足が発生した場合は、翌月の給与支払いの際に調整するなど対応しましょう。
賃金は債権の一種になりますので、支払い漏れや不足分が生じた場合は、遅延損害金という利息が発生する可能性もあります。
記録の保存
労働基準法の第109条によって賃金台帳を最後に記入してから5年間は保存するように定められています。
給与は支払って終わりではなく、その後記録に残して保存する必要があります。
給与計算ツールとは?
給与計算ツールとは、勤怠管理システムなどと連携し、毎月の給与計算から年末調整、税金や控除などの算出を行うシステムです。
給与計算は、従業員への支払いだけでなく、税金の納付など非常に重要なことが絡む業務です。
手入力やエクセルでの入力では、管理や集計のコストが非常に高いですが、給与計算ツールを活用することで多くの業務を効率化できます。
給与計算ツールの主な機能
給与計算ツールの主な機能としては、下記のようなものがあります。
給与、税金、保険料などの自動計算
給与計算の一番核となる、給与や控除額の計算、支給額の算出です。
勤怠システムから情報を連携させたり、勤怠情報データをシステム内に取り込むことによって自動で計算してくれます。
年末調整への対応
年末調整申告書の作成、従業員からの用紙回収などをシステム上で完結できます。
Web明細書や源泉徴収票の発行
給与の支払い後に従業員に配布するWeb明細や源泉徴収票をシステム内で自動作成し、メール配信などで発行まで行います。
勤怠システムや会計システムとの連携
給与計算と関係の深い勤怠情報や会計情報をシステム同士で情報をやりとりするためのシステム同士を連携させます。
給与計算ツールを活用するメリット
給与計算ツールを活用することによって、下記のようなメリットが期待できます。
給与計算・明細の作成の大幅な効率化
給与計算ツールでは、給与計算・給与明細の作成を自動で行ってくれます。
これまで数時間、数十時間かかっていた作業がボタン1つで完了するため、給与計算の主な業務は大幅に効率化されます。
計算ミスの軽減
手入力やエクセルでの管理であれば、計算・集計時にミスが発生してしまう可能性がありますが、給与計算システムは初期設定さえ誤っていなければ、ミスが発生することはほとんどありません。
法律や税率改正への対応
働き方改革や様々な法改正に伴い、保険料や税金の税率が変更になったり、負担が軽減されるなど常に対応をする必要があります。
クラウドの給与計算ツールでは、ツールベンダーが法改正に対応するようアップデートしてくれます。
↓給与掲載システムの比較ポイントや代表的なシステムを紹介した記事はこちら↓
給与計算システムの主な機能や比較ポイント、おすすめツールを紹介
オススメの給与計算ツール
freee人事労務
freee人事労務は、勤怠管理や給与計算から年末調整、入退社手続きなどの業務までを行えるシステムです。
人事労務に関する多くの業務を1つのシステム内で行えることが強みです。
マネーフォワード クラウド給与
マネーフォワード クラウド給与は、勤怠データとの連携、給与の自動計算、Web明細発行を簡単かつ効率的に行える給与計算システムです。
法令改正や増税・社会保険料の料率変更なども随時アップデートで対応しており、マネーフォワード クラウド会計・クラウド勤怠と一緒に使うことで勤怠管理・給与計算から仕訳の起票まで簡単に連携できます。
給与計算ツールを活用し、給与計算を大幅に効率化しよう
今回は、給与計算のやり方や流れ、大幅に効率化する方法などについて紹介しました。
給与計算システムは、給与の控除額や支給額の計算、給与明細の発行、年末調整業務などを大幅に効率化するツールです。
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毎月数時間〜数十時間かかる作業が自動化されるため、非常に費用対効果の良い投資です。
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