組織サーベイとは?目的やメリット・デメリット、項目例を紹介
組織サーベイは、自社の組織の良い部分や問題を定量的に可視化するサービスです。
各項目ごとにスコアが表示されるので、自社が解決すべき課題がすぐに分かります。
ただ、組織サーベイにもメリットも大きい一方で、設計や運用方法を誤るとデメリットも発生します。
今回は、組織サーベイの目的やメリット・デメリット、設問の項目例などについて紹介します。
組織サーベイとは?
組織サーベイとは、組織の問題把握や改善活動を目的に実施される従業員向けのアンケートです。
取得する項目は会社によって異なり、エンゲージメントや職場環境、ストレス状況などの幅広い観点から満足度を回答してもらいます。
組織サーベイは1回実施して終わりではなく、何度か実施して推移を確認して、問題をいち早く検知したり、問題を解消するための活動を行うこと、従業員にフィードバックすることまで実施することが重要です。
組織サーベイの結果は、定量的なデータが出てくるため、問題解決の優先順位をつけやすく、施策を行ったあとの振り返りを行いやすいのも特徴です。
↓組織サーベイツールの機能や導入前の比較ポイントを紹介した記事はこちら↓
組織サーベイツールの主な機能や選定時の比較ポイントを紹介
サーベイの種類と違い
サーベイの中でも目的や実施頻度などによって、4つの種類に分けられます。
センサス
センサスとは、半年から1年ほどの周期で実施するもので、回答数は50から150問程度のサーベイです。
非常に幅広い内容を把握できるため、非常に参考になるデータが蓄積される一方で、回答の工数が大きく従業員に負担がかかってしまうことがデメリットです。
パルスサーベイ
パルスサーベイは、少ない設問を毎日から月に1回の頻度で実施するサーベイです。
少ない周期で変化する、モチベーションやストレスなどの測定を目的に実施されます。
異常を早期検知できるメリットがある一方、より詳しい原因に関してまでは分からないことがデメリットです。
モラールサーベイ
モラールサーベイとは、日本語でいうと従業員の意識調査のことで、従業員が抱える問題ややる気を産業心理学や統計学を基に分析するサーベイです。
具体的には、労働条件や上司のマネジメント、人間関係、理念への共感などの項目の満足度を調査し、従業員のパフォーマンス向上・組織力向上を目的に実施されます。
エンゲージメントサーベイ
エンゲージメントサーベイは、従業員エンゲージメントを向上させるために、どの因子がエンゲージメントと因果関係や相関関係があるかを測定し、活動に落とし込むためのサーベイです。
多くが、eNPSと呼ばれる「自分の会社をどの程度知人や友人にオススメできますか」という質問に0〜10の11段階で回答してもらう質問が採用され、それを結果指標に分析を行います。
組織サーベイを実施する目的
組織サーベイを実施する目的としては、下記のようなものがあります。
従業員の離職を防ぐため
従業員が長く活躍し続けてもらうためには、離職の原因となる問題を検知し解消することと、よりよい環境となるように改善活動を行っていくことが必要です。
そのためには、従業員のアンケート結果を元に課題を把握することが必要なため、組織サーベイが活用されます。
組織の現状を数値化・定量化して把握するため
組織の今の状態を把握するにあたり、様々な項目を比較して相対的に比べるためには、数値などの定量化する必要があります。
従業員のサーベイの回答が複数集まると、それぞれの項目が点数として出てきますので、一目でどういった状態なのかが分かります。
従業員の生産性を向上させるため
組織サーベイで仕事の集中を妨げる要因やチームでの成果を向上させる上での課題を把握し、改善することによって、1人1人の生産性が向上し、チームとしての連携も上手くいくことによって、業績の向上が期待できます。
相関分析によって、仕事の集中と関わりの深い項目を調査できるので、生産性の向上のための分析にも活用されています。
組織サーベイを実施する際のメリット
組織サーベイを実施するメリットとしては、下記のようなものがあります。
データ・数値を元に問題解決の優先順位を付けられる
組織サーベイで集計した回答データは、明確に数値で項目ごとの満足度の平均値や中央値を算出できます。
その数値を相対的に比較したり、目的変数との相関が強い項目を元に組織の問題解決の優先順位を策定できます。
行った施策の効果測定を行える
組織サーベイを定期的に実施することにより、項目ごとの数値の推移を確認できます。
何かしらの施策を実行する前後で満足度の数値がどのように変化したのかを確認できますので、施策の効果測定や振り返りを行えることもメリットです。
問題を早期に検知できる
組織サーベイの数値の推移を確認する中で、特定の項目や部署、個人のスコアが急激に変化している際は、何かしらの問題が発生している可能性があります。
そういったスコアの変動を確認でき、問題を早期に発見して、対策に移しやすいということもメリットの1つです。
様々な項目との相関や関連を調査できる
組織サーベイを実施することによって、勤怠情報や評価などのデータを組み合わせて分析することも可能になります。
ハイパフォーマーの人のストレス状態を分析したり、休みが多い方はどういったストレスや不満が高いと休みが増えるのかなど組織サーベイ以外のデータと組み合わせて分析できます。
組織サーベイを実施する際のデメリット
組織サーベイを実施することによって、下記のようなデメリットがあります。
従業員に回答してもらう工数が発生する
1つ目は、組織サーベイに回答してもらうことにそれぞれ数分から数十分の工数が発生することです。
設問の数が多くなればその分、回答への負担は高まり、正確な回答を得にくくなる可能性もあります。
そのため、従業員の方にはアンケートに回答しやすいUIUXのサービスを選ぶことが重要です。
回答回収後に集計等の作業が発生する
組織サーベイの回答を回収した後、スコアの集計作業や分析の作業が発生します。
組織サーベイ専用のツールやサービスを利用している場合は、集計は自動化できますが、自分で分析する場合は、設問ごとや部署ごと、個々人ごとにスコアを算出する必要があるので、非常に大変です。
従業員に結果や結果を受けての取り組みを報告しないと逆効果になる可能性がある
組織サーベイを実施して、結果なり結果を受けてのtリ組方針を共有しないと、何のためにアンケートを実施したのか分からず、その次のアンケートに協力してもらえなかったり、組織に不信感が募る可能性もありますので、アンケートが終わったら、結果や今後の取り組み方針などを共有することがオススメです。
組織サーベイ導入から運用までの流れ
組織サーベイを実施する際は、下記の6つのステップに沿って進めていきます。
1.目的の明確化
組織サーベイを実施するにあたり、どのような目的で何をゴールに実施するのかを明確にします。
離職を防止したいのか、エンゲージメントを向上させたいのかなど、目的によって手段・方法は変わりますので、まず目的の策定や確認から始めましょう。
2.組織サーベイの運用方法の決定
1で決めたサーベイの目的に沿って、組織サーベイの設問内容や使用するツールを決定します。
その後、アンケートの回答期間や回答/集計方法、その後の流れについてのスケジュールを立てます。
3.従業員へ組織サーベイ実施の事前案内
2で定めた組織サーベイの運用について、従業員に事前に案内します。
組織サーベイを実施する目的から回答方法、回答期間等を案内し、組織サーベイの回答に協力してもらえるように説明と疑問の解消に努めましょう。
4.組織サーベイ実施、回答の回収
組織サーベイの回答開始日になったら、アンケートの回答サイトを共有したり記入用紙を配布して、記入を促しましょう。
アンケート回答を期日までに回収できるよう適宜リマインドを行いながら、回答を回収します。
5.回答結果の分析
回答してもらったアンケート結果を集計します。
設問ごとや部署ごとにスコアを算出したり、クロス集計を行いながら、どの部署にどういった課題があるのかを確認します。
全体や部署ごと、階層ごとの問題が一通り可視化されると良いです。
6.組織の問題の改善活動、全体へのフィードバック
5で発見した組織の問題を解決する優先順位を付け、順次改善の活動を進めていきます。
そして可能であれば、アンケートの結果であったり、アンケートの結果を踏まえてどういった対策を取るのかなどを全体へフィードバックできると、自分たちの意見が反映されていると感じられ、次回以降のアンケートにも積極的に協力してくれる可能性が高まります。
組織サーベイを実施する際の注意点
組織サーベイを実施する際の注意点としては、大きく4点あります。
1.実施目的を伝えなければ、協力は得られにくい
組織サーベイを実施するにあたって、回答方法だけ伝えても、なかなか協力は得られません。
実施する前に、組織サーベイの実施目的や注意点、回答方法などを説明し、従業員の疑問を解消した状態で初めて、回答に協力してくれるようになります。
2.組織サーベイのスコアが全て正とは限らない
組織サーベイで集まったデータは、必ずしも従業員それぞれの本当の回答と同じという訳ではありません。
会社側に回答を見られたくない、回答後に呼び出しがあるかもしれないからそれは避けたいということで本当に思っていることよりも多少抑えめで回答する可能性が大いにありますので、組織サーベイの結果を見て、それが全てだと思うのはNGです。
3.問題を発見しても、その後どういう対策を取ればいいか分からない
組織サーベイの回答を集計し、組織における課題が分かっても、その後課題を解消するためにどういった対策を取れば良いかわからず、そのままにしてしまう企業は少なくありません。
対策に正解はありませんので、仮説を立てながら、色々と施策を実行し、自社に合った対策を見つけることが重要です。
4.長い目で取り組む必要がある
組織サーベイで問題を発見し、その対策を繰り返し続けることが重要で、すぐすぐには改善の兆候は見られないかもしれません。
ただ、何度も仮説検証を繰り返し、問題の解消の行動を取りつづけることで、スコアにも徐々に反映されていきます。
そのため、長い目で計画を策定し、実行を続けることが重要です。
組織サーベイの設問項目例
組織サーベイの設問は、組織サーベイを実施する目的によって異なります。
そのため、あくまでも一例としてサービスの設問項目例を紹介します。
従業員エンゲージメント
- 自分たちの会社を知人や友人にどの程度おすすめできますか。(0~10の11段階での回答)
人間関係に関する質問
- 職場の同じチームの同僚と問題なくコミュニケーションが取れている
- 職場の他のチームの同僚と問題なくコミュニケーションが取れている
- 職場の上長と報連相等のコミュニケーションが取れている
- 職場の部下と報連相等のコミュニケーションが取れている
仕事に関する質問
- 今の仕事にやりがいを感じる
- 今の仕事に集中して取り組めている
- 今の仕事の難易度は自分にとって適切である
- 今の仕事量は自分にとって適切である
帰属意識に関する質問
- 会社のミッションやビジョンに共感をしている
- 会社の行動指針を守っている
- 会社の今後の方向性について共感をしている
労働条件に関する質問
- 有給は、希望日に取得しやすい環境である
- 残業や休日出勤などが常態化していない
- 給与額は自分にとって適切な金額である
メンタルヘルスに関する質問
- 仕事を行う上で緊張したり不安になることがある
- 会社では心理的安全性が保たれている
- 仕事や人間関係などに悩むことがある
- ストレスを感じたら、休んだり対処したりとセルフケアができている
- 睡眠や食事が問題なく取れている
組織サーベイ実施前に従業員に案内する内容
組織サーベイを実施する前に、従業員に案内する内容としては、下記のものがあります。
- 実施する目的
- 評価には反映させないこと
- 回答を閲覧する対象
- 概要
- 回答期間
- 回答方法
ポイントとしては、アンケートの結果は誰が閲覧するのかと人事評価には反映させないことの2点は必ず伝え、アンケートを回答における不安を無くすことが重要です。
また、全体への説明と同時に、質疑応答の時間を設けて、従業員の疑問や不安が無い状態で組織サーベイを実施することがオススメです。
組織サーベイ回答のリマインド方法
組織サーベイの回答をリマインドする際は、専用のサービスであれば自動リマインド機能があるため、締め切りの3営業日前、1営業日前、当日に未回答者に対して送付するのが望ましいです。
ただ、専用のサービスを利用していない場合は、自分でリマインドの設定を行う必要があります。
その際は、下記内容でリマインドを行うことがオススメです。
- 送付日時:締切3日前の朝一、締切前日の朝一、締切日の朝一
- 送付対象は、理想は未回答者のみ、難しい場合は一斉送信
- 送付するチャネル:社内チャット、社内メール、社内掲示板等
- 送付メールタイトル:【締切〇営業日前です】アンケート回答のご協力のお願い
- 送付メール本文例
お疲れ様です。
株式会社○○、人事部門の○○です。○月○日よりアンケートの回答を受け付けておりますが、まだ回答いただけていないようです。
下記URLより、アンケートの回答をお願いいたします。(※回答時間:5分程)
回答URL:https:~~~~~回答期限:20○○年○月○日○○:○○
何卒よろしくお願いいたします。
組織サーベイの結果の集計方法
組織サーベイの回答期間が終了し、回答が集まったら次は集計作業を行います。
組織サーベイの集計で最低限行いたいのは、「部門ごとのスコア」、「設問ごとのスコア」「役職/雇用形態ごとのスコア」の算出と、これらのクロス集計です。
下記が、集計の手順です。
1.ExcelやGoogleスプレッドシートに回答をインポートする
まずは、アンケートの回答を1人分ずつ確認し、それぞれの所属部署、役職/雇用形態、設問ごとのスコアを記入します。
2.関数を使って、部署、役職/雇用形態別のスコアを抽出する
1の作業でローデータが貯まった状態ですので、そこからExcelやGoogleスプレッドシートの関数で、VLOOLUP関数やCOUNTIF関数、SUM関数などを活用し、部署、役職/雇用形態別のスコアを抽出しましょう。
部門別にフィードバックを実施する際は、この作業で作成したデータを部門ごとに共有すると良いです。
3.集計したスコアを参照し、比較や相関を調査し、問題を発見する
2の作業で、属性別のスコアが集計されましたので、そこからスコアを比較したり、設問同士の相関を関数を使って算出するなど、組織における問題点を発見していきます。
理想は、組織サーベイ専用のツールを活用する
組織サーベイの回答結果の集計は、非常に大変でありつつ、手集計の場合はミスしてしまう可能性があります。
そのため、組織サーベイの専用のツールであれば、上記作業は、ツールの中で自動的に行えますので、管理者の手間が非常に省けます。
組織サーベイの結果を部門ごとにフィードバックする際のポイント
組織サーベイの結果を部門ごとにフィードバックする際のポイントとして、下記の3点があります。
結果を伝えるのは部門長に限定する
組織サーベイの結果を受けて、正しく部門の課題を認識してもらうためにも、説明は部門長に限定することがポイントです。
部門長と各メンバーに伝える情報は分け、部門長がよりチームを良くしてもらうためにも具体的な情報を伝える必要があります。
具体的に「課題」と「今後必要な対応」を伝える
組織サーベイの回答結果を説明するのではなく、その部門における「課題」と「必要な対応」の2点を具体的に説明しましょう。
回答結果のスコアだけ渡されても、部門長はどう動いてよいか分かりません。
フィードバックをした後に課題の対策の行動に移してもらうためにもできる限り具体的にどう行動してほしいのかを伝えることがポイントです。
上司同士の比較にならないように説明する対象を分ける
組織サーベイの結果は、部署やチームごとの数値まで出るので、各部署やチームごとに点数の高低が出ます。
その高低で比較してしまうと、自分は良くない上司なのかとその点ばかり気にしてしまう可能性があるので、管掌範囲の組織のみもしくは同じ部門と他のチームまでのスコアの開示に留め、今後どういう対応が必要なのかの部分について説明できるように、説明する対象を分けてフィードバックを実施しましょう。
組織サーベイの結果を従業員に開示する際のポイント
組織サーベイの結果を従業員に開示する際は、「開示する情報はコントロールすること」と「結果を受けてどう対策するのかを伝えること」の2つが重要です。
それぞれの理由について紹介します。
開示する情報はコントロールする
組織サーベイの回答結果は、全てを開示するのではなく、意図して見せたい部分と変な憶測を生まない部分を意識して開示することが重要です。
組織サーベイを実施している企業の中で、ある会社では①今回の回答人数②今回の良かったポイント③今回の改善する項目④次回の予定というように、スコアまで開示せず、概要のみ伝えています。
結果を全て開示することによって、自分たちの会社はまずいのではないかや○○の部署は誰か人が辞めるのではないかといった憶測でマイナスな情報が流れないように、情報をコントロールして開示することがポイントです。
サーベイ結果を受けてどう対策するのかを伝える
組織サーベイの回答結果のみを開示するのではなく、会社としてどういった対策を取るのか、もしくは対策を取らないのかを理由と合わせて説明することが重要です。
アンケートに回答しても、会社が何も対策を取ってくれないとなった場合は、不満足感や不信感が募る可能性がありますので、対策の部分まで伝えてください。
オススメの組織サーベイのサービス
おすすめの組織サーベイのツールやサービスを紹介します。
ラフ―ルサーベイ
ラフ―ルサーベイは、ウェルビーイング経営を実現するために、組織と働く個人の可視化と行動変容を促す組織改善サーベイです。
19問のショートサーベイと144問のディープサーベイ、自社独自のオリジナル設問を元に組織の状態をや自社の良し悪しをダッシュボードで表示し、その後の対策サービスをレコメンドしてくれます。
その他、従業員のセルフケアを促したり、ウェルビーイングを推進する機能を有しています。
wevox
wevoxは、上場企業の株式会社アトラエが提供するエンゲージメントサーベイです。
3分で回答が完了するアンケートをアルゴリズムが各人に最適な質問を自動配信し、分析もリアルタイムに行えます。
チーム別の比較がしやすいことや過去の推移から組織の問題を発見しやすいのが特徴です。
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組織サーベイツールの主な機能や選定時の比較ポイントを紹介
組織サーベイの専用ツールを活用し、より良い組織を作る活動を行おう
今回は、組織サーベイの目的やメリット・デメリット、設問の項目例などについて紹介しました。
組織サーベイは、組織の現状を把握し、課題解決のための重要な参考情報になる一方で、リマインドや集計の工数がかなり大きいため、専用のサービス活用がおすすめです。
専用のツールを活用することで運用の工数を最小限にしつつ、組織をより良い状態にするための対策を続けていきましょう。
まずはサービス紹介資料をダウンロードいただき、自社で活用できそうか検討してみてはいかがでしょうか。