日本企業の離職率の平均は?業界別平均、計算方法、高い理由まとめ
日本は労働力人口の減少により、採用難易度が高まっていることもあり、従業員の育成や離職防止に重点を置く企業が増えています。
離職防止における指標の一つが離職率です。
今回は、日本企業の離職率の平均や離職率の計算方法、離職率が高い原因などについて紹介します。
離職率とは?
離職率とは、一定期間の中で発生した離職者の割合を算出した数字です。
法律で定められた定義はなく、そのため世に公開されている離職率も、対象の期間や対象となる人の範囲が異なる場合があります。
離職率は、転職サイトや会社の四季報などに掲載されることもあり、求職者が就職・転職活動を行う際の参考指標になります。
離職率の計算方法
離職率の計算方法は、一定の期間における常用労働者数の減少数を割り出して算出します。
大量に採用をして、常用労働者数が増えた場合も期間の始めの数を基準にしますので、期間中の増員は離職率には、関係がありません。
式で表すと、下記のようになります。
- 離職率(%) = 離職者数 ÷ 期間の始めの時点での常用労働者数 × 100
3年以内の離職率を算出するとして、期間を2020年4月1日から2023年3月31日までを対象とすると仮定します。
2020年4月1日時点での常用労働者数は50人、2023年3月31日までに退職した人を5人とすると、離職率は5÷50×100で、10%と計算できます。
離職率が高い企業は、組織状態が悪いとは限らない理由
離職率が高い企業は、短期での離職者が多く、組織に深刻な問題があるように見られるかもしれませんが、一概にはそうではありません。
離職率が高い場合の可能性として、下記のことが考えられます。
1.調査対象の母数が少ない
調査対象の母集団が少ない場合は、1人の離職で数字にブレが生じやすいです。
例えば、母集団が5人で離職者が2名出た場合は、離職率が40%となってしまいます。
調査対象の母集団が何人が対象なのかを確認したいです。
2.調査対象の期間が長い
一般的に、離職率の調査対象期間が長い程、離職者が増えるため、その分離職率も高くなります。
調査対象が1年なのか3年なのか、はたまたそれ以上の期間なのかなど、比較する際は、対象とする期間を揃えないことには比較が行えません。
3.純粋にある程度の母数でも離職者が多い
離職率が高い企業は、純粋に組織に問題があって離職者が多いケースもあります。
人の入れ替わりが多い職種、外資系の企業、ベンチャー企業などは特に従業員の在籍期間が短い企業も多く、企業や業界の特徴も踏まえて、判断する必要があります。
4.ブラック企業の方が辞めにくい場合もある
離職率が低い企業でも、組織の問題が少ないとは限りません。
ブラック企業で残業時間が異常に長く、休日出勤も強いられている場合は、転職活動を行う時間も無く、転職したいけどできないという状態の可能性もあります。
離職率だけで組織の良し悪しは完璧に把握できませんので、注意したいです。
日本企業の離職率の平均
厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、令和4年1年間の離職率は、15.0%でした。
近年の離職率は、14〜16%程度で推移しており、昨年の13.9%から1.1%高くなっています。
各属性ごとの離職率の平均を紹介します。
- 全体平均:15.0%
- 男性平均:13.3%
- 女性平均:16.9%
- 一般労働者平均:11.9%
- パートタイム労働者平均:23.1%
産業・業界別の離職率の平均
産業・業界別の離職率の平均値を、離職率が高い順番で紹介します。
- 宿泊業,飲食サービス業:26.8%
- サービス業(他に分類されないもの):19.4%
- 生活関連サービス業,娯楽業:18.7%
- 医療,福祉:15.3%
- 教育,学習支援業:15.2%
- 卸売業,小売業:14.6%
- 不動産業,物品賃貸業:13.8%
- 運輸業,郵便業:12.3%
- 情報通信業:11.9%
- 複合サービス事業:11.0%
- 電気・ガス・熱供給・水道業:10.7%
- 建設業:10.5%
- 製造業:10.2%
- 学術研究,専門・技術サービス業:10.0%
- 金融業,保険業:8.3%
- 鉱業,採石業,砂利採取業:6.3%
離職率が高い職場の特徴
離職率が高い職場の特徴を紹介します。
労働条件が良くない
離職率が高い職場では、賃金や休暇、働き方の柔軟度などの労働条件が他の企業と比べて良くないことがあります。
同じエリア、同じ業種で今いる環境よりも良い労働条件の企業があれば、他の企業に転職するリスクは高まります。
人間関係が良くない
離職の原因の上位には人間関係の問題がランクインしています。
上司との関係、同僚との関係など、普段仕事をする上で関わる人たちと良い関係を築けていないと精神的なストレスも大きく、離職に繋がってしまいます。
ハラスメントが発生している
パワハラやセクハラなどのハラスメントが横行している企業も離職率は高いです。
人事に相談しても解決しないといった企業も少なからずあり、そういった企業では大量の離職者が発生します。
人事評価の方法や内容が明確ではない
人事評価の方法が不明確であることは、従業員の不満に繋がりやすいです。
評価の内容、基準、方法、評価者などが不明瞭であり、自分の評価に納得がいかない場合は、強い不満を抱えてしまいます。
予め、人事評価の方法を明確にした上で公開し、人事評価における不満を軽減することが重要です。
残業時間や休日出勤の時間が非常に多い
残業時間が非常に多い企業、休日出勤が多くて休みがなかなか取れにくい企業も離職者が多くなりがちです。
他の労働条件が良い企業に転職するケースだけでなく、とりあえず心身の疲労から今いる環境から抜け出すために離職するというケースもあります。
職場環境が不衛生、整理されていない
職場環境が汚い、清掃されていない、整理していない状態は、病気にかかってしまったり、大きなストレスを感じてしまったりと、従業員に非常に強い負担・ストレスを与えます。
採用時点と入社後のギャップが大きい
採用の時の会社の説明と入社後の実態に大きな違いがある場合も、早期離職の原因になってしまいます。
とりあえず人手が不足しているからといって、会社を良いように見せて採用ができたとしても、その後すぐに離職してしまえば意味がありません。
入社後の教育の体制・環境が整っていない
新入社員の入社後に業務を行う前の教育の体制や環境が整っていないことは、新入社員の離職の原因になります。
入社早々、自分の受け入れの準備が整っていないことによる会社に対する不安・不審な思いが強くなり、早期離職に繋がってしまいます。
↓退職慰留の方法やポイントを紹介した記事はこちら↓
退職慰留とは?引き止め方法やポイント、注意点まとめ
日本企業における主な離職理由
日本企業における主な離職理由を紹介します。
厚生労働省が発表した「令和4年雇用動向調査結果の概況」を元に、転職理由として多い理由・原因を男女別に紹介します。
男性の離職の原因・理由ランキング
- 定年・雇用契約の満了:15.2%
- 労働時間・休日等の労働条件が悪かった:9.1%
- 職場の人間関係が好ましくなかった:8.3%
- 給料等収入が少なかった:7.6%
- 会社の将来が不安だった:7.1%
※その他の理由を除く
女性の離職の原因・理由ランキング
- 定年・雇用契約の満了:10.9%
- 労働時間・休日等の労働条件が悪かった:10.8%
- 職場の人間関係が好ましくなかった:10.4%
- 会社都合:7.0%
- 給料等収入が少なかった:6.8%
※その他の理由を除く
離職防止に役立つツール
離職防止の活動に活用したいツールを紹介します。
ラフ―ルサーベイ
ラフ―ルサーベイは、ウェルビーイング経営を実現するために、組織と働く個人の可視化と行動変容を促す組織改善サーベイです。
19問のショートサーベイと144問のディープサーベイ、自社独自のオリジナル設問を元に組織の状態をや自社の良し悪しをダッシュボードで表示し、その後の対策サービスをレコメンドしてくれます。
2種類のサーベイを組み合わせて活用することにより、離職の予兆を早期に検知して対処すること、会社の課題を特定して対策することの両方が行えます。
Geppo
Geppoは、個人と組織の両方の課題を可視化するサーベイツールです。
毎月1回3問ほどの個人サーベイと四半期〜半期に1回20問ほどの組織サーベイの両方を活用することによって、個人のコンディションの変化にいち早く気付いて対処し、組織の問題点を発見することも可能です。
離職の予兆を毎日の個人サーベイから検知し、早期に対処することができます。
THANKS GIFT
THANKS GIFTは、従業員同士で感謝や称賛を伝え合うサンクスカードのサービスです。
機能は、サンクスカードだけでなく、社内掲示板、社内チャット、景品交換機能、アンケートなど組織作りにおいて必要な機能が揃っています。
従業員の相互理解や良い人間関係の構築に繋がります。
離職防止のツールや仕組みを整備し、離職率が低い組織を目指そう
今回は、日本企業の離職率の平均や離職率の計算方法、離職率が高い原因などについて紹介しました。
辞めて欲しくない従業員が離職してしまうのは、企業にとって大きな痛手です。
自社の離職の原因や理由を洗い出し、従業員の不幸な離職を防げる仕組みを構築しましょう。
ぜひ、離職防止のツールを上手く活用して、より良い組織作りを行ってはいかがでしょうか。