仕事を辞める人の前兆まとめ|退職理由やおすすめツールを紹介
部下がいきなり退職を伝えてきたと思っても、振り返ると何か違和感や変化に心当たりがあるといった経験は少なくないのではないでしょうか。
退職を考えたり実際に行動に移している場合は、気持ちの変化や行動の変化が会社でも無意識に出ていたりします。
今回は、危険度別の退職の前兆例や退職理由、退職の前兆を把握し、対処するためのおすすめツールなどについて紹介します。
退職の前兆とは?
退職の前兆とは、従業員が普段と言動や雰囲気が異なっていたり、休暇や早退などが多くなる等の勤怠状況の変化など、退職を考えたり行動する際に出る気持ちや行動の変化のことです。
従業員が退職する際は、ある日突然退職しようと決意して行動するよりも、ある程度の期間悩んで考えながら動くことが多いため、気持ちの変化が言動や勤怠に表れることがあります。
その前兆に気づけずに対処できない場合は、従業員の退職リスクがどんどん高まります。
従業員が退職を考えてから実行するまでの流れ
退職の多くの場合は、退職することを考えてから会社に伝えるまでに段階を経ながら進んでいきます。
一般的な退職を実行するまでの流れについて紹介します。
1.退職を考えるきっかけの発生
会社への不満や他の会社の人の話を聞いて現状のままでよいのか考える、もっとやりたいことが見つかるなどと会社内部だけでなく、外からの刺激や勧誘などによって、転職・退職を考えるきっかけが生まれます。
2.転職や将来について情報収集・整理
会社を退職した後、転職をするのか起業するのか、他の選択肢を取るのかや具体的にどういったことがやりたいのか、年収はいくら貰えそうなのかなどの情報収集を行います。
この際に、自分のキャリアの棚卸しを行い、キャリアプランを考えて、現職のままでいるべきか他の選択肢を選ぶべきかを比較します。
3.転職活動開始
会社を退職して別の道に進むことを検討・決意した場合は、転職活動を開始します。
仕事の勤務終了後に、他の企業と面接を行ったり、セミナーに参加するなどこの段階から具体的に行動への変化が見られます。
4.転職候補先内定
転職活動を進め、転職候補先から内定をもらいます。
転職活動の場合は、1社から内定をもらって終了ということは少なく、志望度が高い候補先の転職活動が終了するまでは、最後まで続けることが多いです。
5.退職決意
転職候補先から内定を貰った後に、改めて退職すべきか現職に残るかを判断します。
転職活動を行った人の中でも一部の人は、現職に残る判断をする人もいます。
しかし、この段階で退職することを決意した後は、会社が退職の引き留めを行っても、時すでに遅しで、引き留めることは非常に難しいです。
6.退職の意思を会社に伝える
退職を決意したことを、現職の上司や人事に報告します。
この後は、退職に当たっての書類作成や退職日の決定、引継ぎを行います。
退職の予兆を知ることができたとしても早期に対処しなければ、効果はどんどん低くなります。
早期検知と早期対処が重要です。
従業員が退職する理由
従業員が退職を行う主な理由を紹介します。
厚生労働省が発表した「令和3年雇用動向調査結果の概況」を元に、転職理由として多い理由・原因を男女別に紹介します。
男性の離職の原因・理由ランキング
- 定年・雇用契約の満了:16.5%
- 職場の人間関係が好ましくなかった:8.1%
- 労働時間・休日等の労働条件が悪かった:8.0%
- 給料等収入が少なかった:7.7%
- 会社都合:7.3%
※その他の理由を除く
女性の離職の原因・理由ランキング
- 定年・雇用契約の満了:12.3%
- 労働時間・休日等の労働条件が悪かった:10.1%
- 職場の人間関係が好ましくなかった:9.6%
- 会社都合:7.8%
- 給料等収入が少なかった:7.1%
※その他の理由を除く
↓離職の原因や対策についてまとめた記事はこちら↓
離職が発生する原因と行うべき離職防止対策を紹介
危険度別の退職の前兆
退職の前兆として考えられる言動の中でも危険度別で内容を紹介します。
危険度低の退職の前兆
危険度が低い退職の前兆は、意識が仕事以外に向いていることがある、社内での会議や横断的な取り組みの主体性が減るといったことが考えられます。
具体的には、下記のようなことが挙げられます。
- 部内の会議で発言がなくなった
- 社内の他のメンバーへのフォローが減った
- 話しかけても反応が鈍くなった
- 会社や上司への不満を言うことが増えた
- 目標達成や評価にこだわらなくなった
危険度中の退職の前兆
危険度が中程度の退職の前兆は、変化や異常が態度や行動に見え始めていることです。
具体的には、下記のようなことが挙げられます。
- 退社時間が今までよりも早くなった
- 時間給など有休の取得が増えた
- 仲の良い同僚を誘ってのランチが増えた
- 社内の飲み会に一切参加しなくなった
- 髪の毛や身なりを整えるようになった
- 仕事中に私用の電話が増えた
- 新しい資格の取得を始めた
危険度高の退職の前兆
危険度が高い退職の前兆は、明らかに仕事や社内の人間との関わりを減らしたり、あからさまに変化や異常が見られることです。
- 仕事時間中に何か違うことをやっている
- 会社の新しい取り組みに一切興味を示さない
- もうすぐ辞める、違うことをやろうと思っているといった趣旨の発言をする
- 引継書の作成を行ったり、業務の整理を行っている
退職の兆候が見受けられた人への対処法
退職の兆候が見受けられた人への対処は、慎重に行う必要があります。
具体的にどのように対処すべきか、ポイントと合わせて紹介します。
最初に考えられる原因を探る
退職の兆候が見受けられた場合は、過去の1on1の議事録や組織サーベイへの回答結果、日報の記載内容などから、困っていることや悩んでいることなどがないかを確認します。
それが直接的な原因かは分かりませんが、その後の当人と直接話をする際の参考情報になります。
当人に話を聞く
何か変化や異常が見受けられた場合は、まずカジュアルに話を直接聞きましょう。
最近困っていることや悩んでいることがないか、会社や部署としてフォローできることがないかなど、素直に色々話を聞いてみましょう。
基本的に上司からさりげなく聞くのがよいですが、場合によっては人事から聞いてみるのも手です。
必要に応じて周囲の人の協力を得る
必要に応じて、当人の仲が良い人や関係性の深い方の協力をお願いするのも手です。
面倒見が良い先輩に当たる人に頼んで、悩みがないかを聞いてもらったり、場合によってはフォローしてもらうなど、上司や人事が対応しないほうが良い場合もありますので、状況によって判断します。
退職の前兆を把握する方法
退職の前兆を完璧に把握することは難しいですが、従業員の気持ちやストレス状態の変化に気づく・把握する方法を紹介します。
普段からコミュニケーションを取る
普段からちょっとした声かけや雑談を行い、気軽に話せる関係値を作っておくことが重要です。
なにか変化が見られた際に、「どうしたの?」と気軽に聞けるくらいの関係性であれば、何か問題があった際は、すぐにフォローを行えます。
定期的に1on1を実施する
定期的に上司と部下で1on1を実施し、適宜困っていることや悩んでいることを聞くこと、その時に感じた気づきを議事録やメモに残しておくことも重要です。
毎日顔を合わせているとちょっとした変化に気づけなかったりしますが、感想や違和感をメモに残しておくことで、適宜確認する習慣が出来上がります。
組織サーベイで定量的に把握する
組織サーベイや個人向けのストレス診断などを導入している場合は、従業員個々人の毎回の数値の変動は必ず確認しましょう。
特定の要素が悪化している場合は、従業員のヘルプのサインや退職の予兆かもしれません。
↓離職の要因と対策について紹介した記事はこちら↓
離職が発生する原因と行うべき離職防止対策を紹介
退職の前兆を把握、早期対処するために活用したいツール
退職の前兆を把握し、早期対処するために活用したいツールについて紹介します。
wevox
wevoxは、「従業員の心理状態や特性、組織のカルチャー等」を可視化し、エンゲージメントが高い組織づくりを支援する組織サーベイツールです。
個人のストレスやコンディションを把握し、AIがフォローのための最適な打ち手の考察を補助してくれる機能もあります。
EX Intelligence
EX Intelligenceは、人的資本の情報開示で重要なエンゲージメントを定量的に可視化する、HRBrainが提供する組織診断サーベイです。
従業員ひとりひとりにフォーカスした分析が可能で、優先的にフォローが必要な従業員をピックアップする機能もあります。
THANKS GIFT
THANKS GIFTは、サンクスカードや社内掲示板、社内チャットなど、社内コミュニケーションを行う様々な機能を有する社内コミュニケーションツールです。
サンクスカードのやりとりの枚数が減っている場合は、他の従業員との関わりが減っていたり、組織への関心が低下している可能性が高いです。
離職の予兆の1つの指標として確認しておきたいです。
退職の前兆を把握する仕組み作りと普段から会話できる関係性を構築しよう
今回は、危険度別の退職の前兆例や退職理由、退職の前兆を把握し、対処するためのおすすめツールなどについて紹介しました。
従業員の退職リスクを減らすためには、退職の前兆や変化を把握する仕組み作りと、普段から会話でき、ちょっとした声掛けができる関係性の構築の2つが重要です。
この2つを強化し、従業員が定着・活躍できる組織を作ってください。