離職が発生する原因と行うべき離職防止対策を紹介
従業員を採用しても早期に離職してしまう、従業員がいきなり辞めてしまうなど、転職のハードルが低い現代において、離職防止は非常に重要な取り組みです。
離職が0というのは、必ずしも健全な状態とはいえませんが、離職は業績や組織に大きな影響を与えるため、両者にとって望まない離職は減らすべきです。
今回は、従業員の離職理由・原因のランキングや離職防止のための対策について紹介します。
離職防止の対策を行う必要がある3つの理由
離職防止の対策はなぜ必要なのか、その3つの理由を紹介します。
労働力人口が減少しており、採用難易度が上がっている
日本では、少子高齢化に伴い、労働力人口がどんどん減少しています。
労働力人口が減少しているということは、各社採用したくても人材の奪い合いになってしまい、なかなか採用が上手くいかないといった状況になってしまいます。
今後さらに人材の獲得競争が激化されることが予想されており、離職防止の重要度が上がっています。
若者人口が都市に流出している
地方から東京や大阪、各地方都市に若者の人口流出が続いています。
各県でUターンやIターンの誘致に力を入れているものの、流出する人口が多いのが、現状です。
そのため、地方の企業では特に人口確保の重要性が上がっています。
転職のハードルが下がっており、離職が起きやすくなっている
様々な転職サイトが増えていたり、テレビCMや交通広告でも転職サイトや転職エージェントのCMが多く流れていること、実際に転職を経験したことのある人が増えていることにより、転職のハードルが下がっています。
また、現在は売り手市場で転職活動が成功する可能性も高いため、転職のハードルは非常に低いです。
離職対策を行っていない企業の従業員は、組織作りにしっかりと力を入れている企業に流れる傾向にあります。
離職に伴う会社への影響・デメリット
従業員の離職が発生することによる影響がデメリットを紹介します。
新たな採用・教育コストが発生する
従業員が離職してしまうと、その業務を遂行する担当を補填採用する必要があります。
経験者であっても自社の運用方法や利用ツールに慣れてもらうために教育コストが発生するため、採用・教育に費用や時間のコストが発生します。
残された従業員に業務のしわ寄せが発生する
従業員が離職すると、誰かがその人が行っていた業務を巻き取って対応する必要があります。
引継ぎ対象となる方が既に採用できていれば問題ありませんが、突然退職となった場合は、既存の従業員に大きな負担が発生します。
イメージ低下に繋がる可能性がある
従業員の退職理由によっては、会社のイメージ低下に繋がる可能性があります。
長時間労働やパワハラ・セクハラといった理由の場合は、メディアに取り上げられたり、SNSで告発されるといった可能性もあり、場合によっては業績の低下にまで影響する可能性もあります。
従業員の離職の原因・理由ランキング
厚生労働省が発表した「令和3年雇用動向調査結果の概況」を元に、転職理由として多い理由・原因を男女別に紹介します。
男性の離職の原因・理由ランキング
- 定年・雇用契約の満了:16.5%
- 職場の人間関係が好ましくなかった:8.1%
- 労働時間・休日等の労働条件が悪かった:8.0%
- 給料等収入が少なかった:7.7%
- 会社都合:7.3%
※その他の理由を除く
女性の離職の原因・理由ランキング
- 定年・雇用契約の満了:12.3%
- 労働時間・休日等の労働条件が悪かった:10.1%
- 職場の人間関係が好ましくなかった:9.6%
- 会社都合:7.8%
- 給料等収入が少なかった:7.1%
※その他の理由を除く
早期離職の原因・理由ランキング
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「若年者の離職状況と離職後のキャリア形成Ⅱ」を元に、新卒入社した企業の早期離職の原因・理由ランキングを紹介します。
男性の早期離職の原因・理由ランキング
- 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため:29.2%
- 賃金の条件がよくなかったため:28.2%
- キャリアアップするため:27.0%
- 肉体的・精神的に健康を損ねたため:25.9%
- 人間関係がよくなかったため:24.8%
女性の早期離職の原因・理由ランキング
- 結婚・出産のため:33.0%
- 肉体的・精神的に健康を損ねたため:27.3%
- 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため:27.1%
- 人間関係がよくなかったため:25.9%
- 賃金の条件がよくなかったため:21.9%
離職の本当の原因を探る方法
離職の本当の原因というのは、退職時の面談やアンケートでは正直に回答してもらうことは難しく、正確に判断することは難しいです。
退職する前に悪印象を残したくない、トラブルを起こしたくない、退職遺留を受けたくないといったことで本音で話をしてもらうことは基本的に無いと思った方がよいです。
そのため、離職の原因を探るためには、離職に至るまでの兆候や変化を調査する必要があります。
従業員の気持ちの変化を調査するのに適しているのが、組織サーベイです。
定期的に従業員に組織サーベイに回答してもらうことによって、離職前までの気持ちの変化を確認できます。
退職直前とそれまでの推移をグラフにして、満足度が下がっている項目があれば、その内容が退職を考える・決めるきっかけになった可能性があります。
従業員が退職を実行するまでの流れ
従業員が退職という行動を起こすまでに、感情の変化や転職活動などの行動があるため、会社からは突然・いきなりのように見えても、当人からするとある程度期間が経っていることがほとんどです。
従業員が退職をするまでの具体的な流れについて紹介します。
1.転職・退職を考えるきっかけが発生する
会社への不満が発生したり、他の人の話を聞いて現状のままでよいのか考えたりと会社内部だけでなく、外からの刺激や勧誘などによって、転職・退職を考えるきっかけがまず生まれます。
2.自分のキャリアや将来像について考える
退職や転職を考えるきっかけから、自分のやりたいことや得意なこと、将来どうなりたいのかなどを整理し、今の会社にいるべきなのか、他の選択肢を選ぶべきなのかを整理します。
このタイミングで退職や転職する意思が格段に上がります。
3.転職活動を開始する
実際に退職後に向けて、準備する段階です。
自分が希望する条件の中から志望する会社を絞り込み、書類を送付したり、面接を受けます。
4.転職先が決定する
転職活動を行い、転職先が決定します。
この段階では、いつ頃から転職先で働けそうかという具体的な話を行うため、ここまで来ると退職を慰留することは難しいです。
5.会社に退職することを伝える
転職先が決定したタイミングもしくは、決定することが内定したタイミングなどで、会社に退職する意思を伝えます。
上長からするといきなりのように感じるかもしれませんが、ここに至るまでに様々な考えや行動をしておりますので、当人からするといきなりではありません。
6.退職日を調整し、退職する
最後に、業務の引継ぎや部署の業務状況、有休の残数などを元に退職日や最終出社日を調整し、その日が来ると退職します。
必ずしもこの流れ通りではありませんが、多くの方は、退職の意思を伝えたタイミングでは、次やることが決まっていることが多く、段階を経て退職という行動に進んでいきます。
従業員の離職の兆候
従業員の離職の兆候としては、下記のようなものがあります。
- 会議での発言が減った
- 主体的な行動が減った
- コミュニケーションの量や頻度が減った
- 飲み会や社内イベントを欠席が増えた
- 直接話さず、ビジネスチャットでのやりとりが増えた
- 評価や目標達成を気にしなくなった
- 遅刻や早退、有休の取得が増えた
- ネガティブな発言が増えた
- 身だしなみが急に整うようになった
- 急に元気になったり、急に落ち込んだりするようになった
これまでとコミュニケーションを取る機会を避けたり、行動や雰囲気に変化が訪れた際は、離職を考えていることが考えられます。
また、体調やメンタルヘルスの不調から様子がおかしいことも考えられますので、様子がおかしいときは、声を掛けて様子を確認することも重要です。
従業員の離職の兆候を検知する方法
従業員の離職の兆候は、会話やデータから検知することが可能です。
具体的な方法を紹介します。
管理職が日頃からコミュニケーションを取る
一番重要なことは、管理職が日頃から職場でコミュニケーションを取ることです。
仕事に関することや雑談などを日頃から気軽に行える関係性を築いておくことによって、何か様子がおかしい時にどうしたのか?と声をかけやすくなります。
様子がおかしいことには気付いていたけど大丈夫・問題ないかと思って、スルーしてしまい、結局離職に繋がってしまったということは少なくありません。
日頃から気軽にコミュニケーションを取れる関係性づくりと声掛けを行います。
組織サーベイやモチベーション管理ツールで変化を検知する
従業員に定期的に組織サーベイやモチベーションに関するアンケートに回答してもらい、データで変化を検知することも有効です。
ツールによっては、毎日の状態を天気マークで回答する質問があり、その回答でも日々のモチベーションや状態の変化を把握できます。
従業員と話した様子と照らし合わせて確認すると、より早期に不調や違和感を検知できます。
従業員の離職防止に有効な対策
従業員の離職防止に有効な対策を紹介します。
会社の課題を調査し、対策を講じる
従業員の離職防止の活動で一番重要なことは、離職の要因を特定し、解消することです。
従業員の辞めるきっかけをすくなくし、会社にい続けたいと思える理由を増やすことによって、離職率の低下や生産性の向上が期待できます。
組織サーベイや社内アンケートツールの活用がおすすめです。
長時間労働を抑制する
従業員の離職理由で多い、労働条件を改善することも重要です。
長時間労働が常態化すると、プライベートの時間を確保できなかったり、体やメンタルヘルスの不調のきっかけにもなり得ます。
給与や賞与、手当を拡充する
従業員の離職理由で多い、給与や賞与などの待遇改善も重要です。
給与テーブルを変更することは難しいですが、福利厚生や手当を拡充することはそれに比べると容易なため、従業員に必要な制度や手当を拡充していくと良いです。
従業員の相互理解や関係構築の機会や仕組みを導入する
上司や同僚、部下との人間関係が起因して離職に繋がってしまうことが多いため、良い人間関係を作る、相互理解や関係構築への投資も効果的です。
相互理解を深めるワークや仕事以外の場でコミュニケーションを取れる飲み会・部活動などといった施策が考えられます。
メンタルヘルス不調の対処方法を教育する
メンタルヘルスは、会社からの支援とセルフケアの双方の取り組みが重要です。
不調を感じた時に適切に対処できれば、仕事やプライベートへの影響を少なくすることができます。
メンタルヘルスを相談できる仕組みを設けるとともに、セルフケアに関する教育を行うことが施策として考えられます。
従業員の離職対策に有効なツール・サービス
従業員の離職対策に有効なツール・サービスを紹介します。
ラフ―ルサーベイ
ラフ―ルサーベイは、ウェルビーイング経営を実現するために、組織と働く個人の可視化と行動変容を促す組織改善サーベイです。
19問のショートサーベイと144問のディープサーベイ、自社独自のオリジナル設問を元に組織の状態をや自社の良し悪しをダッシュボードで表示し、その後の対策サービスをレコメンドしてくれます。
2種類のサーベイを組み合わせて活用することにより、離職の予兆を早期に検知して対処すること、会社の課題を特定して対策することの両方が行えます。
Geppo
Geppoは、個人と組織の両方の課題を可視化するサーベイツールです。
毎月1回3問ほどの個人サーベイと四半期〜半期に1回20問ほどの組織サーベイの両方を活用することによって、個人のコンディションの変化にいち早く気付いて対処し、組織の問題点を発見することも可能です。
離職の予兆を毎日の個人サーベイから検知し、早期に対処することができます。
THANKS GIFT
THANKS GIFTは、従業員同士で感謝や称賛を伝え合うサンクスカードのサービスです。
機能は、サンクスカードだけでなく、社内掲示板、社内チャット、景品交換機能、アンケートなど組織作りにおいて必要な機能が揃っています。
従業員の相互理解や良い人間関係の構築に繋がります。
TUNAG
TUNAG(ツナグ)は、エンゲージメント向上を支援する様々な機能を有するオールインワンのサービスです。
サンクスカードや社内報、SNS、社内チャットなどの他のサービスも提供しているサービスの他、組織図、ワークフロー、タスク管理などの従業員も管理者にも喜ばれる機能を提供しています。
従業員の相互理解や良い人間関係の構築に繋がります。
離職防止ツールを活用し、離職の原因特定・対策の仕組みを作ろう
今回は、従業員の離職理由・原因のランキングや離職防止のための対策などについて紹介しました。
会社と従業員の双方にとって望まない離職は、仕組みによって減らすことが可能です。
上手く離職防止のツール・サービスを活用して、組織の課題を把握する、離職の予兆を検知する、会社にい続けたい理由を作っていただければと思います。