エンゲージメントとは?意味や向上のメリット・施策を紹介
会社経営を行う中で、業績向上と組織を良い状態にすることは両立させたいけれどもなかなか苦戦している企業も多いことと思います。
近年では、「従業員エンゲージメント」が高い企業は会社の利益率も高くなるという研究結果もあり、従業員エンゲージメントが注目されています。
今回は、エンゲージメントのビジネスでの使い方や従業員エンゲージメントの意味、向上のメリット・施策などについて紹介します。
エンゲージメントとは?
エンゲージメント(engagement)は、和訳すると約束、契約、婚約という意味の言葉です。
日本におけるビジネスシーンでのエンゲージメントは、「顧客エンゲージメント」「SNSのエンゲージメント」「従業員エンゲージメント」の大きく3つの種類で使い分けられます。
それぞれの言葉の意味の違いを紹介します。
顧客エンゲージメント
顧客エンゲージメントは、顧客からの商品や店舗、ブランドなどに対する愛着や好意的な感情を指します。
良い商品や良い体験を受けることで顧客エンゲージメントが高まり、リピート率や訪問頻度が高まること、長い間顧客でい続けてもらえる可能性が高まります。
SNS上のエンゲージメント
SNS上のエンゲージメントは、FacebookやTwitter、Instagramなどのソーシャルメディアにおける、投稿主や投稿への反響率のことを指します
Twitterであれば、リツイート、返信、フォロー、いいねなど閲覧された数に対する閲覧者のリアクションを起こした率を指します。
エンゲージメントが高いアカウントの方が、よりフォロワーが増えて、より投稿も閲覧されるようになります。
従業員エンゲージメント
従業員エンゲージメントとは、会社の企業理念や方向性に従業員が共感しており、自発的に取り組む意欲を指します。
会社と従業員が同じ方向を向いて、互いに成長し合うような関係です。
従業員が一方的に会社に満足しているだけや、会社が一方的に機会を提供しても従業員が違う方向を向いている場合は当てはまりません。
従業員エンゲージメントと従業員満足度の違い
従業員エンゲージメントと従業員満足度はよく似ている言葉として挙げられますが違う意味の言葉です。
従業員満足度は、会社の人間関係や労働条件(給与や福利厚生)、労働環境などに満足している状態ですが、必ずしも会社の理念に共感していたり、貢献するように取り組むような姿勢は含まれません。
従業員エンゲージメントと従業員満足度の違いは、「理念や方向性への理解」「会社の一員としての自覚」「理念や目標達成に向けた積極性」これらの有無によって、使い分けられます。
従業員エンゲージメントが重要視されている背景
従業員エンゲージメントが重要視されている背景・理由として下記の2つが挙げられます。
労働力人口減少
日本は、今後ますます労働力人口が減少していくことが予想されており、採用難易度は高まっていきます。
そのため、新しく従業員を採用することにも力を入れるとともに、今いる従業員に長く働き続けてもらうこともさらに重要です。
人材確保の観点から従業員エンゲージメントの重要性が向上しています。
業績向上と満足度向上の両立
これまでの企業では、従業員満足度を高めることが重要だと考えてきましたが、従業員満足度の向上は、業績向上には大きな影響を与えません。
近年、従業員エンゲージメントが高い企業ほど「営業利益率」「労働生産性」が高くなるという調査結果が発表され、従業員エンゲージメントが注目を集めました。
従業員エンゲージメント向上による企業のメリット
従業員エンゲージメント向上によって期待される企業のメリットとしては、下記のようなものがあります。
業績の向上
従業員エンゲージメント向上によって、従業員が自らのそしてチームや会社全体の目標達成に向けてモチベーション高く仕事に取り組むことによって、目標の達成度合や達成割合が向上し、売上や利益などの業績向上が期待できます。
特にチーム内や会社内でフォローし合うことが増え、会社の雰囲気も良い状態になります。
離職率の低下
会社への方向性への共感、会社と従業員相互の信頼関係の醸成によって、従業員が離職を考えるきっかけが減って、この会社で頑張り続けたいと思うことが増えることによって、会社の離職率の低下が期待できます。
求職者の応募増加
従業員エンゲージメントが良い状態は、会社の業績が伸びており、社内の雰囲気も良い状態のため、世間一般からの見られ方も良い見られ方をします。
従業員からも良い口コミが広がることによって、求職者の応募増加が期待できます。
顧客満足度向上
従業員が主体的に仕事に取り組むことによって、顧客への対応がより良いものになったり、良い製品を作ることができることによって、顧客の体験が良い方向に変わっていき、顧客満足度の向上が期待できます。
従業員エンゲージメント向上による従業員へのメリット
従業員エンゲージメントが向上することによって、従業員には下記のようなメリットが考えられます。
仕事へのやりがいや成長を感じやすい
従業員エンゲージメントが高い組織では、仕事に主体的に取り組む従業員が多く、仕事でも多くの機会があったり、事業も自分も成長していることを数字や顧客からの声で実感しやすいです。
安心して仕事へのチャレンジができる
従業員エンゲージメントが高い組織においては、仕事へのポジティブな挑戦は好意的に受け止められ、失敗しても周りがフォローしてくれたり、また次の機会を用意してくれることが多いです。
失敗してもまた改善して次があると思えれば、安心してチャレンジできます。
心身の健康を良好な状態に保ちやすい
従業員エンゲージメントが高い組織では、仕事を行う上で仲間や顧客にも恵まれることが多く、かつ労働条件や成果への報酬が充実していることが多いため、心身の健康を良好な状態に保ちやすいです。
従業員エンゲージメントを測定する方法
従業員エンゲージメントを測定する際は、結果指標と要因指標の2種類を測定します。
結果指標:eNPS
従業員エンゲージメントを測定する際によく使われる指標が「eNPS」です。
eNPSは、Employee Net Promoter Scoreを略した言葉で、「自分の会社をどの程度知人や友人にオススメできますか」という質問に0〜10の11段階で回答してもらうことで数値化されます。
要因指標:職場環境や労働条件、人間関係等
要因指標では、結果指標であるeNPSとの相関度合を測定するために設定します。
主に、職場環境や労働条件、人間関係などのへの満足度、現時点での体調やメンタルヘルスの状態などを測定することが多いです。
従業員エンゲージメント調査では、企業によって測定する内容や頻度が異なっているため、網羅的かつ自社の特徴も踏まえた上で設定されます。
従業員エンゲージメントを向上させる施策5選
従業員エンゲージメントを向上させる上で取り組みたい施策を5つ紹介します。
1.企業理念・ミッションの発信
従業員エンゲージメントを向上させるためには、企業理念やバリュー、会社の方向性などを定期的に発信することが重要です。
ただ、ミッションや企業理念の文言を共有するのではなく、なぜ会社が大事にしているのかという背景や具体的にどういった会社にしていきたいのかという内容も含めて発信することが重要です。
2.IT・作業機器の拡充
従業員が仕事に主体的に取り組み、生産性を高める中で、PCやネット環境、仕事用具などの機器は非常に重要です。
ネット環境や仕事用具に不満があると、いくら仕事を頑張りたくても熱意が削がれてしまいます。
必要に応じて、アップグレードしたり買い替えを検討しましょう。
3.エンゲージメントの測定と原因把握
エンゲージメント向上のためには、現状のエンゲージメントがどの程度なのかを測定し、さらに向上させるための原因を特定することが一番重要です。
エンゲージメントを向上させようにも測定しなければ、向上する必要があるかも、具体的にどう取り組むべきかが分かりません。
まずは組織サーベイなどを活用し、現状把握と原因特定から始めましょう。
4.人事評価の見直し
仕事で成果を残した人が評価されるような人事評価でないと、仕事へのモチベーションは低下してしまいます。
従業員エンゲージメントを高め、仕事で成果を残した人がしっかりと評価され、全員が成果を上げることに集中できる環境作りが重要です。
5.コミュニケーションの円滑化
コミュニケーションツールの活用、職場のレイアウト変更、座席配置の変更などが当てはまります。
仕事を進める上で、コミュニケーションの取りやすさは重要です。
オフィス内外でのコミュニケーションが取りやすい環境を整備しましょう。
従業員エンゲージメント向上に欠かせないシステム・ツール
現在、従業員エンゲージメント向上に寄与するシステム・ツールの調査や絞り込みを行っております。
従業員エンゲージメントは複数の仕組みや環境を整えることが重要であるため、いくつかご紹介できるように調査と選定を進めております。
いましばらくお待ちくださいませ。
従業員エンゲージメントを高め、企業・従業員ともに良い状態を構築しよう
今回は、エンゲージメントのビジネスでの使い方や従業員エンゲージメントの意味、向上のメリット・施策などについて紹介しました。
従業員エンゲージメントを向上させることは、企業にとっては業績向上や人材確保、従業員にとっても仕事へのやりがい向上や心身の健康維持などの双方にとって大きなメリットがあります。
今後は、多くの企業が従業員エンゲージメントに着目し、様々な取り組みが行われると思われています。
ぜひ、これを機にエンゲージメントの測定から仕組みの構築まで実行されてはいかがでしょうか。